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017「動き出した世界と救世の勇者(伊礼堂静流の場合)」



――伊礼堂静流の場合



「……父上。よろしいでしょうか?」

「静流か…………入れ」


 静流は緊張した面持ちで父の部屋の扉を開ける。そこには、白髪交じりの50代前半の男が椅子に腰かけ、報告書のような物を読んでいた。


 男の名は『伊礼堂流聖いれいどうりゅうせい』。


 静流の父親である。


「どうした? 何か新しい進展でもあったか?」

「はい。やはり父上が仰ってたとおり、タクミ氏は意識不明で寝ていた一カ月の間、『異世界』に転移していたようです」

「……証拠はあるのか?」

「はい。タクミ氏本人から魔法を見せてもらいました」

「何と! 拓海君は魔法も使えるのか?! ちなみにどんな魔法を見せてもらったのだ?」

「空を飛ぶ魔法です。魔法名は確か…………『飛翔魔法スカイウォーク』と」

「『飛翔魔法スカイウォーク』…………フフ、なるほど。なつかしいな……」

「え? なつか…………しい?」

「……とはいえ、私も可能性として考えてはいたものの、まさか本当に『異世界』に行っていたとは驚きだよ。ちなみにその『異世界』には転移で間違いないのか?」

「はい。転生ではなく転移…………と」

「なるほど。それでその『異世界』の話は聞いたのか?」

「いえ、今日は時間もなかったので、転移の経緯と『魔法』だけを見せてもらっただけで『異世界』についての話はまた明日する、と…………」

「そうか…………わかった。ありがとう、静流。とても良い情報だったぞ」

「ありがとうございます。父上…………タクミ氏は我らの『敵』に…………なるのでしょうか?」

「これだけの情報だけではわからん。だが、今、お前とは別に部下からも報告があってな…………それを聞く限りでは特に『敵』になることはないと思うぞ。むしろ、我々と将来的には手を組む可能性もあると…………私は思う」

「ほ、本当ですかっ?! よ、よかった……」


 静流は父・流聖の言葉に安堵の表情を浮かべる。


「私とて、お前の親友である拓海君をどうにかしようとは思っていない。まあ、『世界の脅威』となるのであれば別……だがな」

「…………」

「静流…………お前もわかっていると思うが、私の組織…………秘密結社『民の鉄槌』に加入した以上、組織のことを最優先に考えるんだ」

「は、はいっ!?」

「何度も言うようだが…………お前には私が基本的な『防衛術』や『攻撃術』を教えたが、普段の生活ではけっして他者には使うなよ。喧嘩事からはすべて避けるように! わかったなっ?!」

「はいっ!!」

「うむ、それでは引き続き、拓海君の『監視』を頼むぞ……」

「かしこまりましたっ!」


 静流は深く頭を下げると、部屋から出て行った。


 流聖は椅子に腰かけ、背もたれに体を預けながら、


「ふむ…………静流の言っていた『飛翔魔法スカイウォーク』か。やはり、拓海君が転移した異世界は私と同じ…………『アルヴァゼロ』のようだな。ということは拓海君は『ステータスを継承した状態』でこの世界に戻ってきたということか? だとすれば、拓海君は…………『救世の勇者としてアルヴァゼロで魔王を倒した』ということか」


 流聖は現時点での静流の情報が正しければという前提で考えた。


「私には倒せなかったあの魔王ヴァルシュトナを…………。ふふ……」


 そう呟きながら、流聖は一人、しみじみと笑った。




今日は時間が無かったので、とりあえず、ほんのちょびっと更新です。

すみません。


明日は午後から仕事休みなので、『後編』更新頑張ります。

m(__)m('◇')ゞ

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