013「告白することとなった救世の勇者」
――19:30 俺は飛翔魔法で家にまさしく『飛んで』帰ってきた。
「ふう…………ただい……」
「お兄ちゃんっ!!!」
「拓海っ!!!」」
家の玄関を開けるや否や、いきなり妹のメグと麗香が血相を変えて目の前に
立っていた。
「拓海っ!!!」
「タクミ氏っ!!!」
そして、二人の後ろには光也と静流もいて顔を紅潮させて声をかけられる。
「お、お前ら…………どしたの?」
「どしたのって………………どうしたもこうしたもないわよっ!」
麗香がすごい剣幕で声を荒げる。
「とにかくっ! お兄ちゃんの部屋に集合よっ!!」
そう言ってメグは、俺の返事も聞かず強引に腕を取って二階の俺の部屋まで歩き出す。
「ちゃんと説明してもらうわよ…………拓海」
麗香がだいぶ怒った顔をして睨むように言葉を吐く。その勢いに思わず……、
「…………やさしくしてね」
などと、冗談をかますとゴチンとけっこう本気モードで頭を殴れた。
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「さあ、お兄ちゃんっ! 洗いざらい吐いてもらうわよっ!!」
二階の俺の部屋へ入り、俺を囲んで四人が腰かけるとメグが進行役のように話を始めた。
「あ、え、え~~~~と…………ど、どこから話せば…………良いでしょうか?」
「「「「全部よ(だ)っ!!!!!!!」」」」
「で、ですよね~……」
四人の言葉がハモる。
まあ、いずれ話すつもりだったので良い機会ではあるが、俺はとりあえず、断りを一つ入れた。
「ふぅ…………とりあえず、俺がこれから話すことはすべて真実だ。でも、正直……いや、到底…………信じられる話じゃないとは思うけど……でも、ちゃんと話す。だから、信じる信じないはいいから聞いてほしいっ!」
「「「「わ、わかった……」」」」
四人は俺の『断り』を聞いてひとつ息をのむ。
「その前に一つ聞きたいんだけど…………メグからは皆、何か話を聞いた?」
そう言うと、皆を代表して麗香が今日の『裏山での出来事』をメグから聞いたと説明する。
「そうか…………わかった。じゃあ、少しは理解してくれるかもだな。まず、結論から言おう…………」
拓海はそう言うと、大きく深呼吸をして話を始めた。
「俺は一カ月間の眠っている間、この世界とは違う別の世界…………いわゆる『異世界』に飛ばされ、そこで一年間生活をしていたんだ」
「「「「…………はっ?!」」」」
四人が四人とも俺の言葉に声を失い………………固まっていた。
まあ、そりゃあ、そんな反応だろうな。
「タ、タクミ氏、それはつまり…………『異世界転生』ということであるか?」
静流が俺の言葉を酌んだ質問を投げかけた。
「いや、『転生』ではなく『転移』…………『異世界転移』だ。だから、俺は今のこの体のまま異世界へと転移されたんだよ」
「転移……された? それって誰かに転移されたってこと? この手の話で異世界に転移させることができる存在って言ったら…………まさか…………」
光也もまたそういった『アニメ・ラノベ』知識が豊富である為、すぐさま的確な質問をしてくる。
「ああ。信じられないと思うが…………神様だよ」
「「ええええええええ~~~~~~~~っ!!!!!」」
二人が大きな驚きを持って俺の言葉に反応する。しかし麗香とメグは……、
「ちょっ……ちょっと待ってよ! 何よ、その…………異世界……転移って? 何の話?」
「そ、そうだよ、お兄ちゃん…………あと神様とか……な、何、言ってんの? アニメの話?」
と、二人は俺の言葉にまったく理解できないでいる。
「ま、待て、皆の者っ! ここからは吾輩がタクミ氏に質問していくから…………ちょっと質問は待っててもらえるか?」
静流が興奮冷めやらぬ声色で他の三人に尋ねる。
「わ、わかった……いいよ」
「そ、そうね。私もいいわよ、静流」
「そうだね……。静流君のほうが拓海の話をうまく説明できると思うから…………頼むよ」
四人はそう言って静流の提案を受け入れた。
「ということだ。まずはタクミ氏にはいろいろと聞きたいことが山ほどあるが、一つずつ、皆が理解できるように段階を追って質問しながら話を進めていこうと思うがいいかね?」
「あ、ああ…………頼むよ、静流」
そう言って、俺は四人に『異世界』での出来事をいよいよ話すこととなった。
すみません……。
一昨日から忙しかったので、今日までは話が短いですがご容赦くださいませ。
m(__)m('ω')