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011「蹂躙する救世の勇者」



「妹に手を出したお前らを徹底的に叩き潰すっ!」



 そう言うと、拓海は全身に青白い闘気を放出する。


 すると、倉庫全体が闘気の放出に連動するようにビリビリ震えだした。そして、それは倉庫だけでなく、


「お、おい、な、なんだよ……震えが…………震えが止まんねーんだけどっ!?」

「ひぃ……!? な、何なんだ…………何なんだよ、コイツっ?!」


 その場にいる者、全員が体を震わせていた。


「お、お前ら…………やっちまえ~~~~~っ!?」


 鮫島が声を震わせながらも、何とか気を張って周囲に叫ぶ…………だが、


「ふ、震えて……体が…………動か…………ない」


 そこにいる者は皆、できることならそこから逃げ出したいという思いだったが、それすらも許さないとでも言われているかのように、体が微動だにしない。


「無駄だよ。俺の『圧倒魅了デスピア』を8割近く放出したんだ……卒倒しないだけ偉いけど、かと言って、そこから身動きできないように封じさせてもらっているから逃げることも動くことも不可能だよ。でも……」


 そう言って、鮫島を見つめた拓海が鮫島に向けて呟く。


「この中で総長の鮫島って人だけは何とか体を動かせるみたいだね。さすが、総長やっているだけはあるね、てちょっと感心したよ」

「く……この化け物め……」

「ということで、まずはその総長さんからやらせてもらうよ?」

「な……っ?!」


 拓海の姿が一瞬その場から消えたと思った瞬間、鮫島の目の前に現れる。


「はっ?! な、なんだ……今の?」

「い、今の、何だよ!? 消えたと思ったら一瞬で鮫島さんのところに…………まさか、もの凄いスピードで移動したってこと?」

「む、無茶苦茶……だろ?!」


 周囲が拓海の動きに唖然とする中、拓海はそんな周囲の声には気にもせず、鮫島に告げる。


「鮫島さん、でいいのかな? 鮫島さんの黄龍っていうこのチームは潰させてもらいます」

「な、何だとこのや…………うごぁっ?!」


 拓海は鮫島の言葉の途中で鳩尾みぞおち目掛けて拳を入れる。


「か……かはっ?!」


 210センチもある鮫島の巨体が、拓海のボディ一発でヒザをつく。


「!? さ、鮫島……さんっ!?」


 チームナンバー2の兵頭が鮫島に声をかける。その声は信じられない光景を見ているためか、拓海の『圧倒魅了デスピア』の効果か、震えていた。


「一応、殺しはしないけど、妹をボコボコにした分だけはキッチリとこの場の奴ら全員に体験してもらうから……………………覚悟しろよ、この野郎っ?!」


 拓海はさらに『圧倒魅了デスピア』の圧を上げる。


「お、俺らは関係…………ミサヲが勝手にやったこと…………」

「お前らの常識でそんなの通用しないのはわかってるだろ? 逆の立場だったら命乞いしてもどうせ下卑た笑いをダダこぼしながら相手を痛めつけるくせに…………だから、今度はお前らがその相手の気持ちを『体験』する番だっ!」


 そう言うと、拓海はちょうど正面にヒザをついている鮫島のハゲ頭を掴み、ミサヲのときのように、ただただ殴り続ける。


「グボォ?!」

「グハッ?!」


 手加減しているとは言え、拓海は妹のボロボロになった姿を見て、加減がうまくできなくなっていた。気づくと、目の前の鮫島の顔が一目見てもわかるように、顔が変形してボコボコになっている。


「あっ?! やべっ! やりすぎちまった……」


 気づくと、掴んでいた頭も拓海の握った手の形に陥没していた。


「お、おい…………あ、あれって……総長、死んだんじゃねーか?」


 息はしているが、ただヒューヒュー息をしているだけでちょっと危ない状態だった。


「あちゃー!? しょうがねーなー………………キュアレス!」


 すると、拓海はB級快癒魔法『キュアレス』を鮫島にかける。


 鮫島の周囲に緑色の光が包む。


「お、おい、なんか、光ってねーかっ!?」

「な、何だっ!!」


 すると、鮫島の頭の陥没部分や顔の変形がスゥーっと治っていく。


「!? お、おいっ! 今、傷が…………消えていったぞ!」


 周囲の皆は、拓海が行った快癒魔法に理解が追い付いていない。すると、


「う、う~~ん…………」


 鮫島がゆっくりと目を覚ます。


「よし。これでひとまず冷静になれた。じゃあ、こっからもう一度! あ、でも、今度はちゃんと手加減して…………やってあげるから」

「ひぃっ!?」


 冷静に戻った拓海は、改めて今度はちゃんと『手加減』して…………丁寧に鮫島を再びぶん殴っていった。



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