どんな世代もあなたと。
「っくわー!疲れたー」
今日はいつもより少し早く仕事が終わり(定時はちょっと過ぎてたけど)
久しぶりにゆっくりバスタイムを過ごせそうだったので湯船満喫中♪
入浴剤入れてないのになんか染み渡るわぁー・・・・・
風呂場で入念にボディケアも行い、ビール飲みながらTVでも見るかーなんて
思いながらリビングに向かうと、ドアのガラスにぼんやりと人の影。
ちょっと待ってよ、誰?泥棒?にしては堂々としすぎてるし・・・・
プチパニックを起こしていたら、影が近づいてきてドアが開いた。
「きゃっ!!」
「萌?」
聞き覚えのある声・・・・
「ひ、ろき?」
「あ、邪魔すんでー」
「邪魔すんねやったら帰ってー・・・・・て、おいっ」
「ははは!良い突っ込みで。てか、久々にすっぴん部屋着の萌見た。
相変わらず肌綺麗し、可愛い」
しまった、突然の訪問にビックリしすぎて自分のこと忘れてた。
「お世辞どうもですー。私はそこらの女の子と違うんでその方法には
乗りません」
「お世辞じゃないし!可愛いもんは可愛いもん」
「大体、な、何しに来たんさ」
「あぁ、何か風呂壊れてて。入らんってのも気持ち悪いし、久々に
萌の顔見に来たって感じ?一人暮らし始めてくれて助かったわあ」
「実家は?」
「今日は誰もいてへんらしい」
「子どもじゃないんやから・・・・じゃあ、銭湯にでも行けばいいやんか」
「えー、近くにないし。それにおっさんに囲まれるなら萌とまったりしたい」
「・・・・もうっ!入っておいでーや。タオル、洗濯機の上の棚やから」
「了解、ありがとう」
ニコニコしながら脱衣所に向かってく。
あいつはほんまどこのホストやねん。
居るのに驚いてたから忘れかけてたけど、不法侵入やん。
(ピンポンしても出やんかったし、七海が鍵掛け忘れてただけやし←by博貴)
・・・・部屋着もいつものヨレてるやつじゃなくてちょっとでも可愛いので
良かった。
15分程して物音がしたので、上がってきたことを悟り、冷蔵庫に向かう。
「いただきましたー。あー!さっぱりした」
「お帰りなさいませー」
いつもはあんな調子良いことばっか言うてるけど、周りが騒ぐ理由が
分かるくらい男前やっていうのは納得出来る。
よく昔から一緒に居るからそんなん思ったことないーとか言う人も
居てるけど、私の場合は密かに小さい時から思ってた。
今、目の前に居る博貴は『水も滴る良い男』のお手本って感じ。
「どうした?」
「何でもない。はい、ビール」
「ありがとう。さっきも思ってたんやけど、萌のとこってこんな
綺麗に月見えるんやな」
「せやな。あんまり思ったことないけど、多分今日ただ単にいつも
より綺麗なんやと思うで」
「それを2人で見れてラッキーやな」
「はいはい」
聞き流す程度に止めておいて、並んでベランダに立つ。
月を見上げながら、ふと思い立ったことを口にしてみる。
「もし、私が宇宙人やったらどうする?」
「えー、どうしよ。連れ去ってもらおかな?」
「なんでこっちからお願いするスタイルなんさ。じゃあ、もし魔法使い
やったら?」
「せやなあ。俺がどの世代に生きても、例え人間じゃなくても、
萌と一緒に過ごさせて下さいってお願いするかな?」
「え?」
「だって、萌が居らん人生なんて考えられへんもん」
「またそんな調子の良いことをっ・・・・」
「ほんまやで?」
「来世はどうなるかなんて分からんけど、とりあえず今世はずっと一緒に
居てあげる」
「あはは、上からくるなあ」
「そこまで言うなら、やからな」
「ほんまのこと、言うてみ?」
「は?」
手に持ってた缶は静かにテーブルに置かれ、気付いたら手首を摑まれ、
ソファに押し倒される。
「な、にさ」
「ずっと、一緒に居て【あげる】?」
「そう・・・・【あげる】」
「萌の正直な気持ちが聞きたいんやけど」
さっきまでのチャラさはどこに行ったのか・・・・
この体制で、そんな顔されたら、もう・・・・・
「・・・・ぉりたい」
「ん?」
「私だって・・・・今世どころか来世もその先もずっとずっと博貴と一緒に
居りたい。博貴が近くに居てくれへん人生なんて嫌。考えたくない。
ただでさえ、違う女の子とちょっと楽しそうにしてるだけで妬いちゃうし。
一緒に居って見張ってないと嫌。ほんまはちょっと時間ある時に誘ったり
したかったけど誰かと一緒やったら悪いな、とか思ったりするし。
だから、今日突然やけど会えて嬉しかった」
「なんで?」
「博貴のこと・・・・好き、やから」
「ふふっ、可愛い。よくできました」
嬉しそうに笑う博貴が、手首を摑んだままキスをしてきた。
子犬みたいにハシャいで、何度も何度も角度を変えて。
この体制のせいか、恥ずかしく思ってる私の気持ちなんて無視のまま。
「そ、ろそろキツイ」
「あ、ごめん」
まだ続けてもかまわんかったけど、私の体が先にSOSを出していた。
元の体制に戻って、少し温くなってしまったビールを渡してくる。
「お月見、再開しよか」
「うん」
「そうやったらいいなーって思ってたけど、まさか萌が好きで
いてくれてたなんてなー」
「自分でもそう思わんようにしてたの」
「なんで?」
「だって・・・・好きやって意識したらウザい幼馴染になりそうで」
「ふふっ、意識しやんとこって思うことが既に意識してるけどな」
「うるさいなー。あ、そういえば博貴からは聞いてないけど?」
「ん?」
「気持ち」
「そんなん今更・・・・」
そう言って笑いながら、ほっぺたにキスしてきて、
「大好きが溢れるくらい大好きに決まってるやんか」
満足そうに言い切る。
このキラキラには一生敵わない。