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パラレルコネクト・オンライン  作者: yuto*
パラレルコネクト・オンライン標準時:6月
96/118

Act95-奇襲

「はぁ……はぁ」

 とりあえず狙撃手の死角となる場所を見つけた俺たちは、つかの間の休息を取る。

 だが悠長にはしていられない。すぐにまた別のポイントに移動し、攻撃してくるだろう。

「ほんとに……スナイパー……だったね……」

 息を切らしながら呟くミユの言葉を理解できたのは、もちろん俺だけだ。

 他のメンバーは、ただただ通り魔の奇襲に驚いているだけでーーって、あれ?


「……みんなは?」

「はぐれたね」

「おいおいマジかよ」


 こんな深い森の中。しかもいつ、どこで狙撃されるかもわからない状況ではぐれるなんて。最悪だ。

「ホノカ……は大丈夫だよな?」

「さぁ。ソウちゃんが連れて来るって言ったんだからね」

「……」

 正直、他のメンバーは狙撃手の場所さえわかれば逃げることは可能だし、むしろユズハやフィリアに関しては遠距離戦を挑むこともできる。

 だがホノカが一人で取り残されてしまえば、為すすべもなくゲームオーバーた。

「とりあえずメッセージは飛ばしておく」

 ミユはそう言って、ユズハとフィリアへ同じ文章を送信する。

 三人が一緒にいるというのが理想だが、そんな保証はどこにも無い。だがせめて、どちらかがホノカと一緒にいて欲しいと、俺はそう願った。

「頼んだ。じゃあとりあえず、ここじゃないどこかに行ーー」


 ザシュッ!


 俺が言葉を続けられなくなったのと、目の前に鮮血にも似たエフェクトが舞ったのは同時だった。


「ソウちゃんッ!!」


 突然の出来事に腰を抜かすミユが視界の端に映る。そこでようやく自分の状況に気づき、痛みを感じる胸元へと視線を落とす。

 ーー短剣が、刺さっていた。

「何だよ……これ……」

 あまりの奇襲だったせいか、不思議と命が削り取られているようには感じられなかった。

 だが、目に見える形で俺のHPはみるみる減少していき、同時に意識が虚ろになっていく。


 ーーこのままじゃ……。

「ソウちゃんから……離れろッ!」


 俺の顔を掠めるように、ミユの片手斧が飛んでくる。通り魔は軽く舌打ちをしながら、剣を抜いて後方へと回避する。

「今のうちに回復を……!」

「あぁ……そう……だな」

 人間、死ぬ寸前にはこんな感じなんだろうか。

 全身から力が抜け、もうどうなってもいいとさえ思える。”虚脱感”とでも言うべきか。

 そんな俺の状況を見かねて、ミユが自らのストレージから回復アイテムを取り出し、使用する。

「ほら、もう大丈夫だよ」

「それより……通り魔は……大丈夫なのか」

 襲おうとした相手がゆっくり回復している時間など、普通は与えようとしないだろう。

「わかんないよ……。だって、あんな装備を持ったプレイヤーなんて知らないし、職業(クラス)も読めない」

 規格外(エクストラ)なのか、とも思ったが、それならそれでミユも「もしかしたら規格外(エクストラ)かも」と言うだろう。

 彼女でもわからない相手。そんな通り魔の姿を一目見ようと振り返る。


 そして視界に入れた瞬間、全身が焼け付くような衝撃が一気に駆け抜けた。


「お前……嘘……だろ」


 俺も数ヶ月前まで使っていた初期装備を身に纏い、両手にそれぞれ見慣れぬ短剣を持った少女。この世界特有の、オンラインゲーム風の見た目をしていても、見間違えることはない。


 ーー如月香澄が、そこにいた。

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