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パラレルコネクト・オンライン  作者: yuto*
パラレルコネクト・オンライン標準時:5月
90/118

Act89-反省会

「な、何でも好きなもの頼んでいいぞ……」

 ショウヤの声が震えているのを知ってか知らずか、五人の少女が次々と注文を口にする。

 一〇時という朝ご飯にしても昼ご飯にしても中途半端な時間のせいか、主にデザート類によって伝票が埋まっていった。

 そんな光景を死んだ目で見つめているショウヤに、こっそり声をかける。

「(あんま無理するなよ……?)」

「(む、無理じゃねーし)」

 と口では言いつつも、端末にはしっかりと電卓アプリが表示されていた。



「それじゃみんな、お疲れ様ー!」

 注文した食事がテーブルに並び、俺の音頭によって食事会兼反省会が幕を開けた。ミユいわく、「司会なんてソウちゃんのキャラじゃない」らしい。俺も薄々気づいてるよ。

 そんな”向いてない司会”の俺が最初に振った話題は、先ほどの戦闘における最後のワンシーン。

 メイが放った治癒(ヒール)が俺に届かず、代わりにボスの巨大モグラが倒れてきた。治癒(ヒール)も例外なく”魔法”扱いなので射程限界はあるだろうが、そうだと仮定しても何だか腑に落ちない。

「んで、あれは結局何が起こったんだよ」

「いきなりそこなの……」


 すかさずミユからブーイングが飛んでくるが、とりあえず当事者のメイに説明を促す。

「いや私わからないんだけど」

「え、あわよくば俺をモグラの下敷きにしようとしたんじゃないの?」

「違うわよ……」

 ジョークに対して真顔で返され、司会として何とも気まずい雰囲気になる。

「じ、じゃあミユは?」

 半ばやっつけ気味にミユに振る。メンバーの中で、この世界のシステムを一番勉強している彼女ならーー。


「メイちゃんにわからないことは、私にもわからないね」


 ーーはい。ユズハ並の答えが返ってきました。

「じゃあ……フィリアは?」

「なんで私から目を逸らすの!?」

「いや、ユズハが言いそうな答えはもう聞いたから」

「ひどいっ!」

 司会として通路にーー邪魔にならないようにーー立つ俺から見て、座っている席の並びは、左側にミユ、ユズハ、フィリア。右にショウヤ、メイ、高月さん。

 一瞬だけユズハに振ろうとして視線を合わせたのがバレたようだ。まぁいい。

「んでフィリア、なんかわかったか?」

「……わかんない。けど」

 少し間を空けて続ける。


「その子のヒールがボスに当たってたのは見えた」

「当たった……?」


 本来、治癒魔法はボスを貫通してプレイヤーへと届くものだ。

 だが、もし今回のボスが例外的なものだとして、ボスに当たり判定が働いたのだとすれば、俺に届くはずの治癒(ヒール)が遮断されていたことにも説明がつく。

「なるほど……それなら」

「最後の方に攻撃が通らなくなったのは、そういうことなのかもな」

「あぁ……」


 ”通常攻撃は受け付けない代わりに、回復呪文が攻撃扱いになる”というのは、現実世界でやっていたMMORPGではよくある話だった。そのため、回復呪文を使えない脳筋パーティで挑んで詰んでしまうことも多々あった。

 今回はそういった可能性を完全に外していたため、最後に勝てたのは奇跡のようなものだ。

「メイがいなかったら勝てなかったわけだ」

「え、どういうこと?」

 彼女は現実世界でMMORPGをやったことがないため、そもそも”自分がラストアタックを決めた”ことにすら気づいていないかもしれない。


 そんな彼女にショウヤが説明をしている間、俺はもう一つ気になっていた点をミユに伝える。

「そういや、あの”離れろ”ってどういう意味だったんだ?」

「ん、あぁ。メイちゃんがね、『ショウヤと蒼ちゃんをまとめてヒールしようとしたらボスにも当たっちゃうから、もしかしたらボスも回復させちゃうかもしれない』って心配してたんだよね」

「だから俺とボスの距離を離そうとしたのか?」

「うん」

「ならそう言ってくれよ……」

 顔を逸らし、ミユが話を誤魔化す。

「まぁ結果オーライだよ。今日の目的も果たせたみたいだしね」

「そうだな。アイテムも手に入っただろうし」

「なんかいいアイテムあったの?」

「いや知らん。多分ラストアタックのメイに行ったんじゃないかな」

「そっか。いいアイテムだといいね」


 そんなことを話している間に、どうにかメイは”MMORPGあるある”と、自分のファインプレーに気づいたようだ。

「なんか……ありがとう」

「どうした? 急に」

 突然感謝の言葉を述べたメイに、ショウヤが困惑する。

「ショウヤと蒼ちゃん。それに皆さん、私のために今回のダンジョン攻略を企画してくれたんだよね……だから、ありがとう」

「……もう大丈夫か?」

 その言葉がメイの精神状態に向けられていることを、一番理解しているのは彼女自身だった。

「うん。まだちょっと不安はあるけど、大丈夫だよ」

「そっか」



 ーーこうして、俺とショウヤの合同企画は大成功に終わった。反省会と題したこの集まりだが、本命はあくまで親睦会だ。

 この後も、夜になるまで話し込み、それぞれが相互フレンド登録するくらいまでは仲良くなれた。

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