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パラレルコネクト・オンライン  作者: yuto*
パラレルコネクト・オンライン標準時:4月(前)
61/118

Act60-対峙

 ーー間に合って良かった。


『あら、どちら様?』

 黒い影は一度ふふっ、と笑ってから言った。

「さっき目が合っただろ? 気づかなかった、とは言わせないぞ」

『そちらこそ気づいてたのね』

 その言葉を聞き届けてから、迷わず俺は端末を操作し、右手に銃剣を握らせる。

「メイたちだけでなく、ミユとホノカにまで手を出したお前を、俺は許さない」

『どうするのかしら?』

 ダンジョンが存在する地下や、戦闘するための闘技場以外において、攻撃によるダメージは発生しない。


 しかし痛みは伴うため、”痛みで相手を気絶させる”ことは可能だ。

 本当は殺してやりたいところだが、一プレイヤーである俺にはシステムの壁を超えられないため、今は諦めるしかない。

 すぅ……と息を吸い、銃剣にアーツを通す。

「今の俺にお前は殺せない。だから痛みで気絶する前に、ヒナタの居場所を教えろ」

 メイは何があったのかわからないが、とりあえず俺たちのもとに戻ってきている。ミユとホノカは、今ここで取り戻す。


 だが高月さんだけは、全く居場所がわからない。


 黒い影はため息をついた後、俺たちにも聞こえる程度の小声で呟いた。

『……あの子はもうダメよ』

「どういうことだ」

『私に勝てたら教えてあげる』

 それで会話は終わりとばかりに、杖の先をこちらに向けてくる。ミユが言っていたとおり、何か特徴があるわけではない、オーソドックスな杖だ。

『ふふ、まずはこの子たちと遊んで頂戴』

 杖の先が光ったかと思うと、次の瞬間には、俺は五体の異形の怪物に囲まれていた。

 よくRPGに出てくる”ゾンビ”のような見た目をしており、それぞれ剣やら斧やらを片手に俺を凝視している。

「おいおい……まさかこいつらに任せて、お前は逃げるわけじゃないだろうな?」

『さぁ、どうかしらね。ーーAttack!』

 慌てて左手にも銃剣を装備し、多方からの攻撃に備える。


 ーー右から剣、左から槍。そして後ろから斧。


 まずは三体の同時攻撃。

 残りの二体の動きも気になるところだが、今は驚異から外す。

「ハァッ……!」

 直線的な左右からの攻撃を両手の銃剣で弾き、その勢いで銃形態に変形させ、後ろに向かって発砲。

 得物を弾かれただけの二体は健在だが、胴を撃ち抜かれた斧持ちのゾンビは、その身をポリゴンへと変えて四散していった。


「次ッ!」


 黒い影が残る四体に再び指示を与える前に、自ら敵陣に斬り込む。

 ーーしかし。

『くっ……戻れ!』

 悔しげなその叫びとともに、残りのゾンビが音もなく消えてしまった。

 行き場のなくなった四つの武器がその場に落ち、路地に静寂が戻る。

「なんだ、もう終わりか?」

『こちらにもMPというものがありますから。どうやらあなたを下に見すぎていたようです』

 ーー違う。

 こいつのレベルはわからないが、少なくともあの程度のモンスターを召喚するだけで消え去るMP量じゃないはずだ。

 まだ何か裏がある。少しでも情報が欲しい。

「そういや、路地とはいえこんなにドンパチやって、誰一人駆けつけないんだな」

『周りからは、この路地すら見えていませんからね』

「え?」

 戦闘中だということを忘れ、思わずキョトンとする。

『この路地は私が屋敷と街を行き来するために作った、人工物よ。何故あなたがここを見破れたのかはわからないけど』

「俺はただ、地図を頼りに来ただけだ」

『まだまだ改良が必要ね。まぁいいわ、あなたにはもっと強力な魔法を見せてあげる』


 ーー強力な魔法。


『場所を変えましょう、ついて来なさい』

「……わかった。だがミユとホノカは巻き込むな」

『もちろんよ』


 俺は不安げな眼差しの二人の方を向き「待っていてくれよな」とだけ告げ、黒い影とともに青いワープゲートを通っていった。

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