表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラレルコネクト・オンライン  作者: yuto*
パラレルコネクト・オンライン標準時:4月(前)
56/118

Act55-相対的感情

「メイ、何かあった?」

「こっちには何もーーうわぁ!?」

 メイの方を見ると、彼女が開けた扉から何やら奇妙な人形が飛び出していた。”ビックリ箱”ならぬ”ビックリ部屋”とでも言うべきだろうか。

「もぉやだぁー!」

 腰を抜かした体勢のまま、駄々をこねる子どものように叫ぶ。普段は何でも笑い飛ばして解決してしまうような彼女だが、驚かされることに関しては全くと言っていいほど耐性が無い。

「ヒナタちゃん開けて!」

「わかったわかった」

 自分で言うのも何だが、私は感情の起伏があまりないため、こういったビックリイベントで心が揺らぐことはない。


 昔、ショウヤに「ドッキリ誕生日パーティー」を開いてもらった時も、無反応過ぎて怒られたのは鮮明に覚えている。

 もちろん、あの時は嬉しかった。

 ただ、自分の気持ちをどう表現すればよいのかがわからなかっただけだ。


 それだけに、常に感情を表に出せるメイの存在というのは、憧れでもあり、また嫉妬の対象にもなっていた。

「……ヒナタちゃん?」

「ごめん。考え事してた」

「もぉー、頼むよ!」

「うん」

 考えていたことを中断し、まだ開けていない扉の中から無作為に選んで開いていく。

 途中、部屋の中が全て空洞になっていたり、床がバルーンで敷き詰められていたり、メイの時のようによくわからない異形の怪物(の人形)が飛んできたりもした。

 その全てに「うわぁ!」というワンパターンの驚き方を見せるメイに、簡潔な問いを投げかける。

「ねぇ。メイはさ、どうしてそんなに感情を出せるの?」

「え……どういうこと?」

 こんな時に何を訳のわからないことを、とでも言いたげな声色で返答してくる。

 私としても、特に意味があって聞いたわけではない。どうせ感情の出し方を知ったところで、私がそれを実践できるとも思えないからだ。


 だが、興味はあった。


 俯くような私を覗き込むようにして、彼女なりの答えを口にする。

「んー。よくわからないけど、私は思ったことをすぐ表に出しちゃうだけだよ。だから、私はヒナタちゃんが羨ましいな」

「私が?」

 ーー羨ましい?

「うん。なんか大人っぽいっていうか……、こういう状況でも落ち着いてるのがすごいなぁって」

 確かに、”落ち着いている”とはよく言われる。が、それはあくまで落ち着いているように見える(・・・)だけで、私だってこの状況は怖い。

 その心境を見透かすかのように、メイは続ける。

「ほんとはヒナタちゃんだって怖いんだよね。わかってる。でも、『ヒナタちゃんは落ち着いてる、だから私も大丈夫』って自分に言い聞かせられなかったら、きっと私は何も出来なかった。ずっとあの牢獄にいたと思う」

「メイ……」

「もっと自信を持っていいんだよ。ヒナタちゃんは感情を表に出せなくても、ちゃんと周りの人の支えになってる。怖さを表に出してばっかりの私より、ずっといいよ」


 ーーそういう考え方もあるのか……。


 今まで私は、感情を出せない=悪い事という考えだった。けど、周りの人からしてみれば意外とそうでないのかもしれない。

「……ありがとう」

「いえいえ」

 その簡単なやり取りで、会話の終了を確認する。


 私たち二人は気を取り直し、端末の捜索を再開した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ