表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラレルコネクト・オンライン  作者: yuto*
パラレルコネクト・オンライン標準時:3月
39/118

Act38-着ぐるみ事件(前)

 ――どれだけ走っただろうか。

 自分の社会的立場の危うさから、二人を連れて一心不乱に走り続けてきた結果、結局ホテル近くの公園まで戻ってきてしまっていた。


「ここまでくれば大丈夫だろう……」

「いや逃げすぎだよ。ていうか、こっち側っていつも行く方向じゃん」


 ホテルの左側の世界を探検するつもりでいた俺たちだが、どうやらホテルを越えて右側に出てしまったようだ。

 昨日ホノカと出会ったこの公園は人通りが少なく、時々通るプレイヤーは抜け道のために利用しているようで、公園自体に用があるプレイヤーは皆無と言っていいほどだった。

 無理もない。公園の名に恥じず、やはり滑り台や砂場などといった遊具が大部分を占めているため、ホノカくらいの年代でもなければ、目的を持って訪れることはないだろう。


 そのため、不自然に動く物体があれば意図せずとも目に入ってくるものだ。

「ねぇ、あれなーに?」

 

 俺と同じタイミングで、その”動く物体”に気づいたホノカが首を傾げる。

「ん、うさぎだな」

 俺たちの視線の先――昨日見た噴水の周りを、カラフルな風船を持ったうさぎの着ぐるみが、一定のリズムのスキップで回っている。

 見た目は現実世界のショッピングモールや、イベント会場なんかでよく見かける出で立ちだが、あんなに自己主張が強いやつを見るのは初めてだ。


「わぁ……私ちょっと風船もらってくる!」

「え?」

 俺が止める間もなく、瞳をキラキラさせながらミユは着ぐるみへと駆け寄って行く。

 ホノカでさえ不信感を抱いているというのに、ミユの精神年齢はどうなっているんだ。

 顔を見合わせ、ホノカと同時にため息をつく。

 直後――。


『ヒャハハハハハッ!!』


 甲高い笑い声が公園中に響き渡る。声の主がうさぎの着ぐるみだということはすぐにわかった。

「ちょっと、離してっ!」

 身体を後ろから押さえ込むような体勢で、ミユの自由を奪っている。風船をダミーにした、新手の誘拐だろうか。

 どうであれ、状況が最悪であることは確かだ。

「おい、離せッ!」

 俺が飛び出しかけたところで、着ぐるみの右腰が光に包まれ、一瞬で無骨なハンドガンのホルスターが実体化する。


『一歩でも動いてみろよぉ……こいつのHPが消し飛ぶぜぇ……?』


 ――誘拐なんかじゃない、これはPKだ!

『おとなしく両手を上げろ。そしてこっちに来い』

 内心で舌打ちする。休日だからといって、装備を実体化させていなかったのを今になって後悔する。

 手を使えなければ携帯端末のストレージは開けない。

 仕方なく、着ぐるみから言われた通りに両手を上げる。

『よぉし……そのままついて来い』

 ちらりと横目でホノカを見る。彼女の表情に恐怖の色は無い。おそらく、イベントか何かだと勘違いしているのだろう。


 ――また面倒なことになったな……。ホノカもいるし、下手な真似はできないか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ