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夕立と東の空
雨上がりの夜空は
沢山の塵が洗い落されるから淋しい
鬱陶しいほどに纏わりついていた空気が
途端に私への興味を失くし
離れていくのを肌で感じることができた
雲の隙間から見える一人ぼっちの星が
誰とも繋がれない私みたいだった
冷たい透明がビルの灯りを滲ませる
新雪のような鮮度の酸素を吸って
吐けば
それだけで毛細血管の隅々まで
明日を生きるための光が芽生えていく
幸せはきっと
雨音のようにそっと近づいてくる
いつのまにか近づいて
いつのまにか離れて
消えたことを知られたくないから
美しい虹で目を奪って
「さようなら」を言わせてくれない
そんな狡い貴方が愛しい
淋しさが温度を奪うのは
優しさを受け入れるためでしょう
両目から涙が零れるのは
心に虹を架けるためでしょう




