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煙と血管と薄い布地



初めて一緒に朝を迎えたとき

あなたの寝顔が宝物になったんだ

君の蒼白い血管に見惚れていると

私は気付けばそこにキスを残していた



恥ずかしいことだったけれど

千円の薄い布地さえ煩わしかった

白い朝日の中でタバコを吸う

あなたの丸い背中が愛しい



髪の毛がボサボサだった

お互いに着飾らないままで

変わらない体温を貪りあった

奪えば奪う程熱くなるキスが

死んだあとの世界のようだった



きっと君のタバコの匂いには

正式な名前がつけられているけれど

私は自分の中で勝手に名前をつけたよ

誰にも言えない秘密を共有しても

それだけはあなたにも教えない

ずっと私だけのものにしたいから



眠そうに咥えるタバコに嫉妬した

春の風が前髪をふわりと撫でると

普段は見えないおでこが見える



煙のような恋だった

嬉しくって舞い上がって

いつのまにか消えていった君の

その匂いだけが記憶よりも強く

千円の薄い布地に染み付いていた



夜更かしした朝にだけ

私の宝物を思い出す

試しに買ってみたタバコの封は

いつまで経っても開けられないから

御守りみたいだななんて思ったんだ



奪えば奪う程熱くなるキスは

死んだあとの世界でもできるのだろうか





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