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むすんで



心が傷つけられて

血を吹き出したとき

それでも生きていくために

糸で頑丈に縫い合わせてきた


つぎはぎだらけで縫い目だらけ

この心は絡まってもうひらかないんだよ

ごめんね



縫合糸に触れてくれた君の指が

焼けるように熱かったから

君の温もりを奪っていたんだと気づいた


見るに耐えない歪さだ

壊され壊して原形はない

汚れてしまった



ちゃんと護れなくて

ごめんね



綺麗な命を創れるのは

綺麗な心を持った人だけだと

笑ってあなたに告げたんだ

重なるたびにこの浮き出た糸が

引っ掻き傷をつけていたこと

それが悲しくてたまらなかった


「あなたと一緒にはいられない」


言葉の針を思い切り刺し込んだら

私の心も傷を負った

それが今までで一番痛くて

笑ってしまった


そして泣いたんだ

一生ひらくことはできない



「汚れてないよ

潰されただけだ

こんなにも綺麗だよ

護ってくれてありがとう」



これほど酷いことをしたのに

それでも君はそばで笑って

優しい言葉の針で

心を全部縫い直してくれた



抜糸の度に過去が襲って

泣き崩れる私のそばで

いつまでもいつまでも

不器用に

でも丁寧に



言葉の針で縫ってくれた

一生で一本の赤い糸で

怖いものがもう出てこないように

私がもう一人で泣いてしまわないように



まだうまくできないけれど

いつかちゃんと心をひらいて

あなたに伝えたいよ


あなたに伝えたいことが

この心の中にあるんだよ



それだけはちゃんと

護って生きてきたんだよ



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