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まばたき
たとえば
前世なんてないとして
魂というものが
生まれる前から
死んだあとまで
ずっと
続いていくものだとしたら
この地球で生きているのは
一度のまばたきのようなものだと
そういうのなら
暗闇の中だったから
ちゃんとこの目が
あなたという光を
見つけられた
今ならそんなふうに
思えるよ
あなたが死んでしまった日は
あなたが生まれた日よりも
覚えるのが簡単でした
それがあなたを
出会う前よりも
愛した証拠になるなんて
思いもしませんでした
来世なんてないよ
だからずっと待ってて
たかだか数年の約束をしようよ
前世なんてないよ
私たちはこの一度のまばたきの中で
お互いを見つけたんだから
そのために
この一瞬のために
私たちは生まれて
そして死んでいくのです




