体温
いっそのこと 君が死んでくれたら楽なのに
そうしたら僕は悲しむことだけしたらいい
君が死んだ次の日には 世界中で夕立が起きる
どれだけの人が泣いたかなんて 知りたくない
汚い空気も 醜い笑顔も 洗い流してよ
生き残った花びらを むしって 集めて
天に向かって放つよ
目印にして迎えに来て ここにいるから
君の両手で 僕を殺してほしい
喜んだり不安になったり泣いたり
生きてみようと希望を抱いたり
そういうのはもう全部疲れた
穏やかな日々がほしい
空気に触れるだけで褒めてほしい
オレンジ味のあめ玉が
ほっぺの中でころがった
幸せの上に苦しみを塗るんだね
過去が殺しにくる 毎朝 毎晩
笑うためのチケットは
とっくの昔になくなっている
そこに転がっているバットで
僕の脳をぶちまけて下さい
思考が空っぽになった心なら
僕は世界で一番優しいから
汚れてしまった心では もう話せない
嫌われなかった夜は 一人で安心して泣くんだ
そうでもしないと 次の日を迎えられない
君が苦しそうに笑うなら
いっそのこと僕が死んだらいい
夕立なんて本当はいらなかった
汚い空気も 醜い笑顔も
全部この世界には必要なものだ
僕の命よりかは必要なものだ
冷たい死の言い訳に埋もれて
仰向けになったら
自分にも体温があることに気づいた
「君は優しい」 それを信じたことはなかった
方法が分からなくて頭を抱えた日も多かった
だけど この体温は誰かを救えるのかもしれない
生きているうちは優しさをなくすことは
出来ないのかもしれない
優しくはないけれど 優しさはあるね
でも 僕はそれだけだよ
君は 優しいよ




