いろあわせ
祭りだったものの中
赤い金魚が描かれた浴衣
君は頬を同じくらいに染めて
僕の袖を掴むから
僕の手は掴むものがなかった
バカになっている野外照明
汚すように僕たちの影を照らした
土砂降りの雨
世界から逃げるように
二人で走った
長い髪がしっとりと濡れた
まるで醜い姿でも見られてしまったかのように
君は誤魔化しながら微笑む
僕は君を織り成す
細胞の繊維一つ一つに
名前をつけたい
君は自分が嫌いだった
壊れてしまったと泣いた
君を不完全にするその一部
どうか譲ってください
君よりも大事に守るから
僕の中で代わりに育てるよ
夏の終わりを告げる鐘
熱を含んで滲む二酸化炭素
あの空に花が咲いていたと言っても
君は信じようとしないから
二度とこない夜を描いた
最後の夏だって知っていたら
僕は君の手をひいて走ったはずだった
そんな夢を見ていた
真夜中のプールに
二人分の波紋
静かに広がっていく
笑い話にもならないほどの
ありふれた不幸な人生
感動的な死に方すら出来ない君
僕は君を織り成す
細胞の繊維一つ一つに
名前をつけたい
君を壊してしまった
その一部をどうか譲ってください
君と同じ死に方をしたい
そうすれば君の死も
少しは意味をもつから
最期は君が瞼に見た世界と
同じ色を見たい
次の初めの約束は
二人で色合わせがしたい




