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あなたの声が聞こえていた
ずっとずっと聞こえていた
なんでこんな私なんかに
飽きもせず話しかけてくるのか
意味が分からなかった
こっそり消えようとした新月の夜でも
君の明るい心は私を照らして
暗闇に逃げることを許してはくれない
存在しているだけで害を与える
血の通っていない欠陥品
そんなものに微笑むあなたは
本当に物好きな変わり者
それもいつも どうでもいい話ばかりする
不機嫌な態度をとったり
無視をしたり悪態をついたりして
失望してもらおうとする私の魂胆を
見透かしてでもいるように
ずっとずっと毎日毎日あなたは
こんな私に声をかけ続けてくれた
ある日の朝
いつもと変わらず絶望に襲われているのに
君は私の元には来てくれなかった
部屋に行くとベッドの上で君は死んでいて
私は初めて添い寝をして君の横顔を見つめる
「今日の天気はどうかな?」
「桜はもう咲いているかな?」
「外は人で賑わっているのかな?」
それはいつも君が私に話してくれていた
心底どうでもいいと流していた内容と
同じ話題だった
だからようやく私は気づいたんだ
話しかけてくれていた理由が分かったんだ
私はあなたの声が聴きたい
私はあなたの笑顔が見たい
私はあなたの心が知りたい
どんなことで喜んだり怒ったりするのか
もっと知りたいんだ もっともっとね
あなたの力になりたかった
だから話しかけるよ
どれだけ無視されてもね
あなたが笑ってくれるだけで
それだけでいいやと思えるから
今更になって心臓が小さく脈を打った
君のことを愛していたことに気づいた
行き場を失った血液は出口を求めて
君の死体に数滴の涙を落とした
もう全部 無意味だった




