この居場所のない世界で
「初めまして」すら うまくいえない僕を
見つけてくれたのは 君だった
何十年も生きてきて 自分の居場所の一つすら
見つけられない 隠れることしかできない僕を
君は温かい光で 照らしてくれた
優しくする方法なんて 分からない
なのに 誰かを
傷つけることは 人一倍得意でした
言葉の棘を 抱きしめてくれた
下手くそな作り笑いで 受け止めてくれた
その腕から 血が流れても
「痛くないよ」と見え透いた嘘を
僕についてくれた
「今日から生きればいい」なんて
今までの人生を全否定して
「君が君を許してあげられたらいいね」なんて
これからの人生に希望を添えてくれた
「ごめんなさい」が口癖の僕を
見つけてくれたのは 君だった
何十年も生きてきて ようやく出会えた
出会う前から 出会いたかった人
血まみれにしても 一人にしてくれなかった
逃げ出した僕を それでも掴まえてくれた
僕はその手を 思い切り振りほどいた
さようならを 先に言わせてほしかった
さようならと 君に言われたくなかった
でも本当は 僕も君に
さようならを 言いたくなかった
誰かと繋がっていることが
怖くてしかたなかった
君が泣いた姿を 初めて見た
どれだけ辛い言葉をぶつけても
笑っていた君は
僕がいなくなる
そんなことだけで 声をあげて泣いた
子供みたいに しゃくりをあげた
振りほどいてしまった手を
今度は僕から握ってみる
君が握り返してくれたから
僕たちはまた
手を繋ぐことができたよ
まだ手を繋いでいられるよ
何十年も生きてきて この世界のどこを探しても
見つけられなかった 僕の居場所は
やっぱり見つけられなかったけれど
僕たちの居場所なら 君がいてくれたから
こんなにも近くに 見つけることができたよ




