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夢を追う男



飛び出した くだらない世界から

「笑われるくらい 自分の人生を生きてやる」

言い放った男は ずっと何かと闘っていた

風が吹けば消えてしまいそうな 小さな火を

薄っぺらい心に 灯しながら




人々は もがいてる男を 指差し笑った

「現実を見る勇気のない臆病者」

聞こえないふりをして 全力で走った

夢の場所も分からず たどり着いた知らない街

彼はようやく気がついた

逃げるためだけに必死に走っただけだった




誰もが一度は 届かなくとも手をのばしていた

男はそのことに気付いていなかった

「オレだけは届くはずだ」

自分だけが特別だと 信じきっていた

自分しか見えていなかっただけなのに




飛び出せた つもりでいた

一人だけでも 生きていけるはずだった

「本当に笑われたら世話ねぇよな」

人々が忙しく行き交う街のすみで

勇気がなくて 怖くて

誰かに笑われる前に自分を笑った




雪が降ってきやがった

世界はオレに消えてほしいらしい

「死んでたまるかよ」 みんな同じだった

今更気づいた みんな闘っている

でも 男は生きる術を持っていなかった




冷たくなる街に 男の居場所などない

つけてきた足跡だって 消えちまったよ

落としてきたものも 忘れちまったんだ




夢以外の持ち物全部 捨てたはずだった

でもなぜか 心の火だけは消えていない

「あぁ この火はもらいものだったっけ」




知らない街で 一人になっても

自分自身を見失わないようにと

君がくれた 希望の光

その願いだけが まだうっとうしくも

精一杯 輝き続けてくれていた




またオレに夢を見させてくれた



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