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口遊び
君の口ずさむ唄が好きだった
元の曲は知らなかったけど
いつのまにか
私も口ずさめるようになっていた
君の癖が伝染ってしまった
私が一人で世界を知るとき
君がとなりにいたならと思うとき
私はこの唄を口ずさんでる
覚えてしまったなんてことは
恥ずかしいから 言えないよ
軽快なメロディ
歌詞の意味は分からない
辛いときはこの唄を少しだけ歌うの
そしたらね もう少しだけ 頑張れたんだ
イヤホンをはんぶんこしていると
あの唄が流れてきた
「僕の好きな唄だよ」
知ってるよ
いつも口ずさんでいるから
でも全然似てないね
そういえば君は歌うことが下手くそだった
私がそういうと
君は私にくっついて笑ったの
君の真似をして 私も笑った
君の世界をもっと知りたい
そう思えるくらい 君の世界が好きだった
でもそれは 君がいるから好きだった
好きだよ
君の口ずさむ唄が好きだった
君が口ずさむから好きだった




