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インピーダンスは0
深夜の高速道路
光が矢継ぎばやに抜けていく
そのわずか数メートルわきの
サービスエリアの車内で
背もたれを限界まで倒し
私たちは手を繋いでいた
エンジンと遥か遠くのラジオのノイズ
そこに人の気配が混じる 変だね
君の唇が一瞬かがやいていたから
私はそれを大切に撫でてみたんだ
愛してるって言葉はあまりにもチープで
好きだよって言葉はあまりにも赤裸々で
でもそれよりも美しい言葉は
私たちの間にはなかったから
特別な恋ではないんだろうね
遠くで動くテールランプ
キレイだった 世界を消してくれるから
君の横顔が見える一瞬が
私の人生のすべてだったら幸せだよ
目を閉じて分かるものは
目を開いたら消えてしまうから
私たちは二人で別々の夢を見る
魚たちは空を泳いで
鳥たちは海を飛んだ
私たちは生きている
そんな夢を君も見たかな
私はね
見たんだよ




