三角ボタン(右向き)
言わなくても分かることなのに、それを確認してしまうのは、まだ現実のことだと思えないから。
記憶の中で仲良く僕たちは手を繋ぐの。
誰もなくしたくなかったからかな。
僕たちの手は二つしかないから。隣同士しか選べないの。
背景なんて役割がないから、僕たちが消えても世界は廻る。
すれ違う人は、今日も生きていたよ。
日常の背景にして殺さないでよ。
君を背景にはさせない。隠れていても見つけ出す。
君の舞台上での役割が名無しの木でも、僕は毎日、君が生み出す葉っぱの一枚一枚まで愛そう。
台詞がなくて、誰にも声が届かなくても、君が笑うまで、話そうよ。
脚本なんて無視して、ずっと二人でそばにいようよ。
寝ることは気絶することと同じなんだって。
君の寝顔を可愛いと感じる。
君のお葬式でも同じ気持ちになりたいよ。
君は生きてる。ここにいる。いつも、ここで生きてる。
ここにいなくなっても、きっと生きてる。
死んでしまって、ここにいなくなっても、きっと生きてる。
生きてるって、そういうことにしようよ。
死んでるって、そういうことにしようよ。
お別れの定義を曖昧にしようよ。
そうしてずっと、一緒にいようよ。
君がここからいなくなっても
僕がここからいなくなっても
帰ってこれなくなっても、ずっとここは僕たちの場所。




