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中毒性
もらった体で真似した心を
本物だと信じて疑わない街が
吐き出した反吐を吸って生きている
余裕がなさすぎる人波を
醒めた目で見つめる自分は何様だ
優しくしてもらいたい
認めてもらいたい
それだけを求めて漂う
輝いていたあの一瞬のように
生きていたい
嘘には中毒性がある
一度吐けば世界が正しく回り始める
歯車にオイルをさすように
正解を創って間違いを潰すのさ
そうすれば呼吸ができる
こんな反吐でも有り難く思えてくる
自身の治療すら出来なくて
何が自分の力で生きてるだ
生まれたときにあったものは
当たり前だと信じて疑わない
教室で出会ったあの子が
涙を押し殺しながら日々を営む姿を
疑うことをしなかった
偽物の言葉だけが漂う街に
一体なにを求めればいい
君があの頃に描いた世界は
どこに置いてきたのだろうか
ただこの世界も一人一人が
望んだ美しさなのだとしたら
嘘で満たされた空気も
そんなに悪くもないなと
そう思えてくる




