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造花の残骸
執行猶予の中で
育てた花に意味はあるのだろうか
償い方も分からない僕が
誰かと幸せになるために
生きていいのだろうか
毎日同じ景色を電車から眺めている
少しずつ風化していく都合の良い脳に
忘れるなと同罪のニュースを届ける
光に照らされてしまった
それは温かかった
今さら人並みの生活が出来てしまった
今さら生きる意味を護りたいと願った
裁かれる行為だったとしても
一つの命を守れるなら
それを選んだよ
元々良くない頭と心
今さら一つなくなったところで
哀しむ君がいることに気づいてしまった
君の哀しむことが過ちだった
僕にとってはそうだった
君の言葉が刺さったままだ
これが抜け落ちたとき死ぬのだろうな
傷口を作ったナイフがいつのまにか瘡蓋になって
僕の心臓を護ってくれている
いつでも絶てる命だよ
でも君はそれでも残って続いていくよ
今日が続いていくことが不思議なんだ
育てた花を咲かしておくれ
枯らしても棄てても構わないけど
それが君の支えになるのなら
執行猶予の中で
罪を償えるだろう




