それだけでいいや
子供の頃自分の人生は特別だと思っていた
素敵な友達や恋人がいて
それなりに泣ける話や辛いこともあって
それでも生きている自分は主人公だって
でも大人になるにつれて
みんながみんな
自分だけの宝物の思い出をもっていて
それは自分だけだと思い込んでいた
「自分だけの経験」をみんながしてるから
「自分だけの経験」はよくある話なんだと知った
ただの一匹の動物でしかない
僕だけの名前を与えられたつもりだったけど
誰かと被ったりもした
消えていなくなっても自殺をしても
それすらよくある話なんだと知った
どこまでいっても特別にはなれなくて
横並びに人はいて
前にも後ろにも誰かがいるから
勝っても負けても変わらなかった
特別になりたかった
何者かになりたかった
だけど
みんな何者にもなれやしないんだ
世界で一番売れたアーティストは
この世界には何人もいるんだ
居ても消えても意味なんてなくて
生きていても死んでいても
誰かが泣いてもよくある話
不幸でも幸運でも関係なくて
なら一体なんのための自分なのかと
社会で生き抜くための価値ばかり探してきたよ
そんなとき君が現れた
君は僕の些細な発言一つで
怒ったり泣いたり笑ったり
悩んだりしていた
照れたりもしてくれた
「あなたは特別な人」
特別が一人としていない世界
誰も特別になんてなれやしない
それが哀しいと思っていた
あぁでもそっか分かったんだ
分からないけど分かったよ
この世界に特別扱いされなくても
君の世界で特別であれば
僕は幸せだった
僕の世界で特別な君の世界で特別なら
こんな世界にもう認められなくてもいいや
ちやほやされて褒められなくてもいいや
君のそばで眠れたらいいや
君とキスができたらいいや
いやそんなことしなくても
君に嫌われなかったら
それだけでいいや
それだけでいいから
どうかこの日々が
死ぬまで続きますように




