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We were dead




誰かに追いやられた 暗くて長いトンネル

ここは太陽も月も星もない

恐ろしく反響するから声も出せない

冷たい空洞が体温を奪う

話し相手もいないから 一人で歩くふりをして

寿命が尽きるのを待っている



よく似ている君と出会った

入り口はたくさん でも出口は見つからない

それでもいいかと思ってしまった

君も同じだったらな


「ゴミ捨て場なんだよ」

「人間とは別の生き物になったよ」



ここは夜も朝も時間もない

誰にも求められていない命を浪費するだけの場所

出口がないのは見つける勇気がなかったから

それでも君と歩き続けた

君の体温に触れると願いが一つできた

叶えたくない願いが一つできた


「人間だったときの記憶がない」

「今までどう生きていたのか忘れてしまった」




いつかは互いの声が聞こえなくなること

僕らは出会う前から教えてもらっていた

淋しさを増やすように手を繋ぐたび

言葉を失っていること

気づかないふりをした


遠く向こうに光が見える

一瞬立ち止まって

僕らは一歩を踏み出して歩きだした


たった一つの願いを叶えるために



もう会話は体を成していない

半分も聞き取れやしないから

届けば困る言葉を呟いた

それがあなたに向けた最後の言葉になった



外には蒼い空と地平線

トンネルは見えなくなっていた

「もう大丈夫」「生きていけるね」

そんな言葉 君は言ったことなかったけど

小さな記憶の中で

振りむいた君が言っていたことを

僕は覚えている



君は光と共に消えていた

「あなたが幸せになれますように」

君も同じ気持ちでしょう


それだけでもうこの光は消えやしない

それだけで僕らは繋がっていける



「さようなら」

「待っててね」

「はじめまして」

「待ってたよ」


生きてるって そういうことにしよう


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