等と差
君の尊さなんてなくなればいいよ。
君の価値なんて無に等しくなればいいよ。
なくなる瞬間に燃え上がる命に、僕らは目を奪われるんだ。美談で語ってラッピングして歴史にして君を知らない誰かに語るの。
君の命が誰かの人生を彩るステータスになってしまうくらいなら、僕が犯して汚してダメ人間の烙印を首元につけてあげる。
自堕落に暗闇で神にも秘密の悪戯をしよう。僕のものになることで君は誰の目にも止まらなくなるよ。他人から必要とされることが価値だと呼ぶのなら、僕も君を必要としないようにする。
誰も泣かない葬式ほど理想的なものはないから。
尊さが君の存在を大きく魅せるなら、君の尊さなんてなくなればいい。
みんなに誤認されて原型がなくなるくらいなら、僕は君の価値を無にしたいよ。
君は美しくなんかないよ。過多に存命する人間の一人だ。自分を過大評価して自殺しなくていいんだよ。
君の死を語れる奴はいても、君の生を語れる奴はいないから、もう誰にも語ってほしくないよ。
語れるものではないのだから。
君の寝床を花で埋めよう。チープな言葉も添えてみせよう。僕たちの命って本当に軽いよね。この地球で生活している限り無に等しい。みんな本当はそうだよ。告別式の看板を見かけても、一昨日の雲と同じくらい忘れてる。
君という存在だけでいいんだ。他はなにもいらないんだ。体も心も人生も、君を君だと識別出来る全てが、君を苦しめていることを僕は知っている。
全部燃やしていいよ。それでも僕は君を見つけるから。
全部いらなかったんだよ。生きていくために必要な権利の奪い合いなんて、君は最も苦手にしているのだから。
君の世界で一番幸せな日が、君の人生最期の日以外だったら僕は嬉しいよ。