表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/136

等と差



 君の尊さなんてなくなればいいよ。

 君の価値なんて無に等しくなればいいよ。



 なくなる瞬間に燃え上がる命に、僕らは目を奪われるんだ。美談で語ってラッピングして歴史にして君を知らない誰かに語るの。

 君の命が誰かの人生を彩るステータスになってしまうくらいなら、僕が犯して汚してダメ人間の烙印を首元につけてあげる。

 自堕落に暗闇で神にも秘密の悪戯をしよう。僕のものになることで君は誰の目にも止まらなくなるよ。他人から必要とされることが価値だと呼ぶのなら、僕も君を必要としないようにする。

 誰も泣かない葬式ほど理想的なものはないから。




 尊さが君の存在を大きく魅せるなら、君の尊さなんてなくなればいい。

 みんなに誤認されて原型がなくなるくらいなら、僕は君の価値を無にしたいよ。

 君は美しくなんかないよ。過多に存命する人間の一人だ。自分を過大評価して自殺しなくていいんだよ。

 君の死を語れる奴はいても、君の生を語れる奴はいないから、もう誰にも語ってほしくないよ。

 語れるものではないのだから。



 

 君の寝床を花で埋めよう。チープな言葉も添えてみせよう。僕たちの命って本当に軽いよね。この地球で生活している限り無に等しい。みんな本当はそうだよ。告別式の看板を見かけても、一昨日の雲と同じくらい忘れてる。


 君という存在だけでいいんだ。他はなにもいらないんだ。体も心も人生も、君を君だと識別出来る全てが、君を苦しめていることを僕は知っている。



 全部燃やしていいよ。それでも僕は君を見つけるから。

 全部いらなかったんだよ。生きていくために必要な権利の奪い合いなんて、君は最も苦手にしているのだから。

 


 君の世界で一番幸せな日が、君の人生最期の日以外だったら僕は嬉しいよ。


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ