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血煙旅記  作者: 黒洋恵生
かぐや姫編
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【第十一話】薬の横





 宗志に連れられ白臣は暗い廊下を歩いていた。そしてある部屋の前で宗志の足が止まる。目を凝らして見ると、その部屋の横には〝宗志〟と刻まれた木の札がちょこんとぶら下げられていた。


「君はこの屋敷に自室をもっているのか」

「違げぇよ。あの馬鹿が先走って部屋を作っちまったんだ。それに、この屋敷に来るのは今日で二度目だ」


 そう言って宗志は襖を開けた。宗志と時雨は旧知の仲だと思っていた白臣は、二度しか来てないと言う彼の言葉に首を傾げる。 その割にはお互いを理解し合っている様に見えていたからだ。

 そんな白臣の心を読んだかの様に、宗志は灯明皿(とうみょうざら)に火をつけながら続ける。


「あいつの〝見える〟範囲は国一つ分だ。その範囲に入っちまうと、性懲りもなく寄ってきやがる」


 自分の能力は戦闘向きではない、と時雨が志津国で言っていたのを白臣は思い出し一人で納得した。


「瀬崎さんは宗志が好きなのだな」

下手物(げてもの)好きなだけだろ、あいつは」


 宗志は敷いてある布団を指さし、白臣に入る様に促した。確かにその布団は通常の大きさよりもひと回り小さいかもしれない。白臣は腰から刀を抜いて枕元に置き、促されるままその布団に入る。

 宗志は腰から刀を抜いてからそれを抱き抱える様に胡座をかいた。


「宗志、君は布団に入らないのか」

「当たり前だろ」

「でも、布団で寝れる時くらい、ちゃんと横になった方が良い」


 そう言って布団の左側を空ける白臣に、宗志は眉間に(しわ)を寄せた。


「お前、普通に考えてありえねぇだろうが」

「何故だ?」

「……だから、男女が一つの布団で寝るなんてありえねぇだろ」


 呆れを含んだ宗志の言葉に、はっと気付いた様な顔をして白臣はしばらく考え込んでいた。やっと分かったか、と宗志が(まぶた)を閉じようとした時。

 白臣が掛け布団を捲り、布団の左側をぽんぽんと叩いた。


「お前、意味分かったんじゃねぇのか」

「大丈夫だ」

「は!?」

「鳥野さん以外は僕を男だと思っている。変な噂をたてられる心配はない」

「あのな……」

「ならば僕が布団から出る。だから君は布団で寝るべきだ」


 そう言って布団から出ようとする白臣を、宗志は溜め息を吐いて制止する。


「分かったよ、布団に入りゃいいんだろ。本当にお前は強情だな」


 宗志は二本の刀を枕元に置くと、だるそうに布団に入る。そして二人はお互いに背中を向ける様に布団の上で横になった。静かな闇に灯明皿の火だけがゆらゆらと揺れている。


「……宗志」

「なんだ」

「一つ訊いていいか? 君は何故……」

「お前には関係ねぇ」


 宗志は白臣の(とい)をはっきりとした声音で遮った。


「お前と俺は、お前の復讐が終わり次第、すぐに別れる身だ」

「だけど……」

「俺がどんな生き方をしてきたか、どんな生き方をしていくかはお前にいちいち教えるつもりはねぇ。いちいちお前が気を()む必要なんざねぇんだ。それとも、そんなに化け物が物珍しいのか?」

「違う! でも……」

「もう寝ろ。寝過ごしたら置いてくからな」


 白臣はそれ以上何も言えず、仕方なく(まぶた)を閉じた。

 少しだけ、ほんの少しだけでも宗志の力になりたいと思ってしまったのだ。まだすっかり自分の中で解決した訳ではないが、彼の言葉のおかげで、偽善的な自分も弱い自分にも、向き合える気がしたのだ。

 

(僕が宗志が抱えている〝もの〟を軽くしてあげられる訳なんてないんだって、本当は分かっていたんだ……)


 白臣はそんな想いを心の奥底に押しやり、布団の中で体を更に小さくしたのだった。






「何から何までお世話になりました」

「いや、礼を言われる様なことはしていないさ」


 宗志と白臣は早朝に南燕会の屋敷を立つことにした。宗志の手には時雨が書いた地図が握られている。


「薬は毎朝一錠飲むのだぞ」

「はい。本当にありがとうございます」


 白臣は時雨に丁寧に礼を告げた後、気になっていた事をぽつりと(こぼ)した。


「直輝さん、大丈夫ですかね……」

「案ずることはない。もうこの日本に寿命を伸ばす薬の存在を記憶しているのは、俺と鳥野、そして宗志に白臣殿、あとは直輝殿だけだからな」

「それはどういう意味ですか?」


 首を傾げる白臣に、時雨が包帯を巻いている自分の額を指さした。


「俺は三つ目という妖怪の混血でな、額にはもう一つ目があるのだ」

(かしら)の額の目には相手の記憶を操作する力があるのよ」

「その通り。俺と鳥野で一晩中、志津国はもちろん、隣の照妙国、その他の近隣の国の民の記憶の中からあの薬の記憶だけ削らせてもらったのだ」


 だから二人で朝帰りしてたのか、と宗志は一人で納得する。白臣は、あの親子がまた普通の幸せな暮らしが出来ることを嬉しく思った。


「この力は必要最低限にしか使わないようにしているのだが、今回は(いた)(かた)ないとおもってな」

「その能力には何か代償でもあるのですか?」


 心配そうに見上げてくる白臣に、時雨は騒ぎ出す心臓と熱を帯びる頬を誤魔化す様に、落ち着き払った声で答えた。


「代償なんて物はないさ。ただ、この力は下手に使うと人の人生を狂わしかねん。むやみやたらに使うわけにはいかないのだ」


 記憶は人間にとって、人格を作り上げる上でも重要な要素だ。記憶の操作というものは使い方によっては、人間を内側から壊す事も出来るのだろう。白臣は時雨の言外の意を汲み取った。

 一方時雨は今だ収まる事を知らない胸の鼓動に動揺していた。彼はこの感情の名を知っている。だがそれは、基本的に同性に抱く物ではない。そのような嗜好(しこう)は自分は持ち合わせていない、と湧きあがる感情を抑え込もうとするが、いっこうに落ち着く気配はなかった。

 頬を染め胸を押さえる時雨を、白臣は心配そうに見つめ、宗志と鳥野は呆れを含んだ視線を容赦なく注いでいたのであった。


「宗志、そんな寂しそうな目をして見つめるでない」

「死んでもそんな目するか、ハゲ」

「そうかそうか。そんなに俺と別れたくないのか。大丈夫だ、生きてさえいればいつでも会えるだろう」

「今すぐ医者に行って目玉と耳を診てもらってこい」


 相変わらず噛み合うことのない二人の会話に白臣と鳥野はくすくす笑う。宗志は大きく溜め息をついて頭を()いた。


「もう行く」

「そうか。宗志も白臣殿も風邪ひくなよ」

「はい。瀬崎さんと鳥野さんもお元気で」


 白臣はぺこりと頭を下げて、先を歩く宗志を小走りで追いかけていった。

 時雨はしばらくの間、段々遠く小さくなる白臣の背中をぼんやりと見つめ、首筋を意味もなく撫でた。


(かしら)?」

「いや、その、だな……」


 もう偽りが出来ないほどに大きくなってしまった白臣への想いに、時雨は激しく動揺していた。まさか人よりも恋愛経験の多い自分が、男を恋い(した)うようになるなど信じられなかったのだ。だがそんな彼を新たな世界に導くかの様に、胸の痛みはずきずきと増していく。


(いやいやいやいや、俺は女が好きだ! 俺は宗志と違って断じて男色などではない! 男なんて固いし、むさいし、()でれた物ではない! 女はいい香りがするし、柔らかいし……ほら、鳥野のふくよかな胸を見てみろ、触ってみ……)


「痛い痛い! 髪引っ張んないで、ハゲるってば! いきなり何をするのだ、鳥野!」

「すみません、(かしら)の心の声がだだ漏れだったもので」

「と、鳥野、お前はいつの間に読心術を身につけたというのだ?」

「そんなもの、身につけた覚えはございません。ただ、(かしら)の口からべらべらと言葉が漏れておりました」

「え、それは誠か!? ちなみにどこから?」

「いやいやいや、の所からです」

「それって最初からではないか!」


(……俺としたことが心の声を漏らしてしまうとは。てか、今は漏れてないよね!? 鳥野のばーか、ばーか……よし、聞こえていないようだ。しかし、よくよく考えてみると男が女を好きになるという行為は、子孫を残すための本能的なものと考えられる。てことは男同士の恋愛、俺の白臣殿への想いは……)


「鳥野」

「はい?」

「……真実の愛を見つけた」

「は!?」






 宗志と白臣は地図を見ながら道なき道を歩いていた。時雨の話だと二日ほど歩けば着くということだったが、南燕会の屋敷を出て歩き始めて、今日で三日目。しかも太陽は真上よりも西に傾いている。彼はくしゃくしゃと頭を掻いた。


「あの馬鹿、適当なこと描きやがったな」

「地図どおりだといくらなんでも、もうそろそろ着いてもいいころなんだけど……」


 白臣は宗志の持つ地図を覗きこむ。道を間違えるほどの複雑な道順ではない。それにもかかわらず、振背村どころか、村らしい村一つも見つからない。

 めんどくせぇが屋敷に戻るか、そう宗志が溜め息混じりに言った時だった。前方から男が二人に駆け寄って来たのだ。その後をお付の人らしき人々がぞろぞろと寄ってきた。男の身なりはきちんと整っており、家柄の良さが見て取れる。歳は三十代半ばぐらいに白臣には見えた。

 宗志は眉間の(しわ)を深くし、反射的に刀に手を掛ける。


「あんたら、なんのようだ?」

「私達はけっして怪しい者ではございません。貴方のお力をどうか、お貸し頂けないでしょうか」


 そう言って、その男はぺこぺこと頭を下げている。宗志は更に眉間の皺を深くし、刀に手を掛けたまま口を開いた。


「俺が誰だか分かってんのか」

「もちろんでございます、宗志様」


 男は穏やかな微笑みを浮かべている。そして懐から何やら風呂敷に包まれたものを取り出して続けた。


(わたくし)の娘を〝瀬快(せかい)〟という者から守っていただきたいのです」

「瀬快?」

「報酬はしっかりと用意します。あれならば前払いに半分ほど差し上げます」


 男は取り出した風呂敷の包みを少し開くとかなりの量の判金が包まれている。


「どうか、瀬快という男の首を取ってきては頂けないでしょうか」

「悪いが、俺は金なんぞに興味はねぇんだ」


 宗志がぶっきらぼうにそう告げると、男は肩を落として包みを懐に戻している。その男の落胆した様子に、白臣は気の毒に感じて思わずその男に事情を尋ねた。彼は弱々しく語り始める。


「私の娘は親の(わたくし)が言うのもあれなのですが、まるでかぐや姫を思わせるほど美しい容姿をしております。その娘を〝瀬快〟と名乗る男が(さら)おうとしているのです」

「なぜ瀬快という男が娘さんを攫おうとしているとお分かりになったのですか?」

「先日、矢文(やふみ)が屋敷の門に刺さっておりまして、そう(つづ)られていてのです」

「わざわざ予告するなんざ、そいつは自分の力に相当な自信があるみてぇだな」


 男はぼとりと大粒の涙を零している。それが頬を伝って(したた)り落ち、乾いた地面に斑点(はんてん)を描く。


「瀬快という男は美しい女性を殺しては食すという残忍(ざんにん)な者だと聞きます。大事な娘がその男の毒手(どくしゅ)にかかると思うと……」


 男はそこで嗚咽を漏らした。そんな男を見て白臣は不憫(ふびん)に思い表情を暗くしたが、宗志は眉一つ動かさない。


「たかが男一人だろ。あんたのとこの家来で十分用が足りるんじゃねぇの」

「その瀬快という男は妖怪の血が流れているそうで、私たちの手には負えません」

「化け物には化け物を、てことか」


 それでもやはり宗志は目の前で涙を零す男に、力を貸す気はないようである。元来た道を引き返そうとする宗志の袖を、白臣は思わず引っ張って止めた。


「この人の娘さんの護衛、受けてあげないか」

「なんだ、お前は金が欲しいのか?」

「そうじゃない。ただこのままじゃ彼らが(あわ)れじゃないか」

「あのな、お人好しなのも大概(たいがい)にしろよ。そんな事、いちいち受けてたらきりがねぇだろうが」

「そうだけど……」


 白臣は宗志の袖を掴んだまま、男の方に視線を向けた。


「あの、振背村ってご存知ですか?」

「……ふ、振背村? あ、ああ、あの村のことですね。知ってますよ。その村に行きたいのですか?」

「そうなんです」

「なるほど。……では、もし瀬快という男の首を貴方がたが取ることが出来ましたら、その村へ案内させていただきましょう。もちろん報酬も十分に用意します。悪い話ではないと思いますが」


 白臣は宗志の顔を見上げる。彼の眉間には深い(しわ)が刻まれていた。


「瀬崎さんの所へ戻るにも三日はかかるんだし、この話を受けてもいいのではないか?」


 宗志は自分を見上げる白臣の顔を十分に見つめた後、しかたねぇか、と溜め息と共にそう()らした。男とそのお付の人々は喜びの歓声を小さく上げている。

 そして二人は男に案内され、彼らの住む館へと向かった。男に連れられて(しばら)く歩くと、(にぎ)やかな通りに入る。その通りの中でも一際目立つ館の前で男の足が止まった。仰々(ぎょうぎょう)しい門をくぐると、紅や金の魚がゆったりと泳ぐ池があり、その池の周りには綺麗に松が植えられている。


「あんた、何者だ?」

(わたくし)久野(ひさの)大蓮(たいれん)と申します。この久野家は武士の家筋であり、歴史は浅いのですが、先代の努力により今の地位まで築き上げる事が出来た次第でございます。さあさあこちらへ」


 大蓮という男は二人を館に上がるように促した。草履(ぞうり)を脱いで館に上がると、ほのかに木の香りが感じられる。二人は案内されるまま館の中を進んだ。

 そして大蓮はある部屋に二人を通すと、部屋の壁を軽く勢いをつけて押した。


「……ここは忍者屋敷か」


 大蓮が押した壁は隠し扉になっていたらしく、目の前には細く長い通路が続いていた。通路の奥までは光が届かないようで、闇に包まれている。


「もともとは家宝を隠すために作らせたものなのですが、瀬快という男から手紙が届いてからは、臨時に娘をこの奥の部屋に隠しているのです」


 大事な娘なので、と大蓮は付け加えると手燭(てしょく)に立てた蝋燭(ろうそく)に火を(とも)した。

 一寸先(いっすんさき)も見えない暗闇の中を、(かす)かな蝋燭の明かりを頼りに進んだ。ぎしぎし、と三人の足音が狭い通路に静かに響く。


「この部屋に娘がおります」


 そう言って大蓮は滑りの悪い戸を音を立てて開けると、窓一つない部屋が見えた。部屋には部屋を囲う様に灯明皿(とうみょうざら)がいくつも置かれ、さらに棚のいたるところにも蝋燭(ろうそく)(とも)されている。そのおかげで相手の顔がはっきりと見える程度には明るくなっているようである。

 そして部屋の真ん中には髪を腰まで伸ばした少女が、背を向けて座っている。その少女が戸口の方に振り返った時、思わず白臣は息を呑んだ。同性であることを忘れさせてしまうくらい、その少女の顔立ちは美しかったのだ。灯明皿の灯りが少女の髪を艶やかに照らしている。


「父様、そちらの方は?」

「お前を守ってくれるお方だ」

「そうですか……」


 少女はそう言って目を伏せてしまった。少女の声はまるで鈴を鳴らした様な、心地良い響きを持っている。


「あんたから、こんな娘が生まれるなんざ、世の中なにが起こるか分からねぇもんだな」

「宗志、失礼にも程があるだろ……」

「いえいえ、かまいませんよ。では(わたくし)はこれで失礼いたします」


 大蓮は二人に部屋の中に入る様に軽く促して、二人が中に入ったのを確認してから滑りの悪い戸を再び閉めた。

 宗志はぐるりと部屋を見回し気だるそうに首を回した。見れば見るほど殺風景な部屋である。ただ、娘を一時的に隠すには打って付けなのだろうが。


「ここで過ごせってことか」

「しかたないよ。それに、僕らが娘さんの傍にずっといたほうが、彼も安心なのだろう」

「どうだかな」


 宗志は何か引っかかる事があるのか、複雑な顔をして、どっかりと座りこんだ。

 白臣も遠慮がちに座り、大蓮の娘に視線を向け、ゆっくりと口を開いた。


「お名前聞いてもよろしいですか?」

「……はい。私の名前は久野(ひさの)柚月(ゆづき)と申します。貴方がたは?」

「僕の隣にいるのが宗志、僕は藤生白臣と申します」

「宗志様、白臣様、どうぞ(よろ)しくお願い申し上げます」


 柚月は微かに微笑んで深々と頭を下げた。一つ一つの動作が洗練されており、たとえ彼女に月から降りて来たのだと言われたとしても妙に納得してしまうほど、人間離れした美しさである。


「この部屋にいて退屈しないんですか?」


 間をもたせる様に白臣は目を伏せている柚月に問いかけた。いくら数日とはいっても、こんな窓さえない部屋にいるのは耐え難く思われたのだ。


「いいえ。お花にお習字、それにお(こと)の稽古をしているとあっという間に一日が終わってしまいますもの。……むしろ、暇な時間が欲しいものです」


 そこで柚月は言葉を切ると、物憂(ものう)げな表情を見せた。そして揺れる灯明皿(とうみょうざら)の炎を見つめてから、ふっくらとした小さな唇を再び開いた。


「私は貴方達が(うらや)ましい」

「え?」

「私は毎日毎日お稽古をして、着物を着せ替えられて。自分の意志で生きてなどいないのです。たまに自分の身体が自分の身体でない気がしてならないのです」

「柚月さん……」

「私も思いっきり外を走ってみたいし、川に行って魚を触ってみたい。って何言ってるのかしら私。ごめんなさい、変な事言ってしまって」


 柚月は取り繕う様に微笑んでから、長く(つや)やかな髪を指で()いた。


「身分が違けりゃ悩みも違うとはよく言ったもんだな。俺には理解できねぇや」

「……それが貴方が自由だからでしょう?」

「そう見えるか?」

「ええ」


 どうだかな、と宗志は自嘲的な笑みを浮かべた。そんな彼を白臣は横目で見て、何故か居た(たま)れない気持ちでいっぱいになり、無性に歯痒(はがゆ)く感じたのだった。

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