生まれた姫
初めての童話 (?)です。
生暖かい目で見てやってください。
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昔々のあるところ、歴史ある古き良き王国がありました。
その国は、あらゆる国の文化を取り入れてはそれを独自のものに作り変え、発展することでいままで存続してきました。
あまり裕福ではないが、国民たちは皆優しい心を持ち、国中のありとあらゆる人たちが協力し合い、それなりに平和であった。
ある日、そんな国に1人の女の子が生まれた。
彼女の親は国の王家の者。つまり彼女は国の姫君であった。
「じい!私、今から町に行ってくる!」
「ひ、姫様⁉︎お待ちをっ!」
姫はとても好奇心旺盛で勇猛果敢な女の子であった。イタズラは日常茶飯事。召使いの者たちも手を焼いていた。
そんな彼女は最近、城の中は飽きたのか毎日城下町に下りては同い年ぐらいの子どもたちと遊ぶことを日課にしていた。
それが日々の唯一の楽しみである。
ただ一つ問題があるとすれば…
姫は友人たちに自らの身分を隠したままでいることだった。
じいの言いつけとはいえ、姫は友だちに隠し事をするなんて嫌だった。しかしじいは一歩も引かず、がんとして言い張った。
「この約束が守れないなら外に出ることは許しません!」
結果として姫が折れたのは言うまでもない。
「ごめん、遅くなった」
「お、やっと来たな!」
ここ数日はとある農家の息子と特に仲が良かった。少年はどこか姫と似たような性格で、話がよく噛み合うのだ。姫は少年を親友のように思い、毎日のように彼と遊んでいた。
「今日はなにするの?」
「ふっふっふ…聞いて驚くなよ」
少年はいつにも増して意地悪そうな笑みをうかべる。
「今日はあの|偽物(、、)の王様の城に忍び込むんだ」
姫は少年の言葉に何か引っかかるものを感じた。
正確に言ってしまうと彼女は「偽物の王様」という言葉に違和感を感じた。
「偽物のって…どういう意味?」
気がつくと質問が口をついて出ていた。
「…お前しらねぇの?実はあの王様は本当の王様じゃないんだぜ」
姫には理解できなかった。
「あの王様、いつも俺たちからお金を奪い取ってきやがるし」
むしろ理解したくてもできなかった。
「父ちゃん母ちゃんが一生懸命働いてる時にあいつは豪華な城でのんびりと…。最悪だ」
自分の父親がそんなひどいことをするなんてありえない…。そんなわけない。
「そんなことないっ‼︎」
思いがいつしか声になっていた。
「お父様は優しいもん!絶対っ!」
そして少年は気づいた。彼女が国の姫君であることを。
「…まさか…お前…」
少年は怒りに体を震わす。握った拳に青い筋がうかぶ。
「俺を…騙してたんだな…⁉︎……最悪だ…王様と同じでお前も最悪な奴だ‼︎」
その少年の言葉は深く突き刺さり、姫の心に大きな傷を刻みつけた。
姫はその日から城下町へ行かなくなり、城の自分の部屋に引きこもるようになった。
もう二度とこんな苦しい思いしたくなかった…
じいはこうなることを分かってたんだ…だからあんなことを…
今更ながらようやくじいの優しさに気づいたのだった。
…ふと部屋の扉がノックされる。
「…姫様…お食事をお持ちしました」
いつものようにじいが食事を持って入ってきた。
「じい…」
姫が小さくつぶやくとじいは突然頭を下げた。
「申し訳ありません。私がちゃんとしていなかったばかりに…」
「…違う」
「私がちゃんと理由を話していれば…」
「違う」
「私が…」
「違う!」
姫は泣きながら怒鳴った。
これにはじいも驚き、黙る。
「…じいは…悪くない…私が…」
姫は言葉を切り、
「…ごめんなさい」
小さく謝った。