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しばしの雑談

「なんか失礼な事を言われている気がするんだけど」

「気のせいよ。あんたの規格外っぷりについて話してただけだから」


 そう言って片づけを終えて近づいて来たシシーを、簡単にあしらうカトレアも規格外ではなかろうかとミカは思う。

 大の男でさえ、切断された自分の腕が繋げられていく様を平気でつぶさに観察する事など出来ないだろうに……この事から、見た目に似合わず彼女が剛毅な性格である事が窺える。


「ところでシシー、あんたアタシらと合流するまでどこに居たんだい? 下から来たっていうのは知ってるけど」


 それはミカも気になる所であった。

 シシーが次から次へと行動するもので、腰を落ち着けてゆっくり話をする事も出来なかったのだ。

 ひと段落した今ならばお互いの状況を話し合うのに丁度良いので、ミカは暖をとれるように魔道具で火を熾して、カトレアとシシーをその近くへと誘った(いざなった)


「ありがとう。えーと、エル……」

「ミカ・エルヴァスティです。どうぞミカと呼んで下さい」

「ミカね、助かるよ。私は人の名前、特に長い家名って覚えるの苦手なもんだから。私の事もシシーでいいからね、みんなそう呼ぶからユまでつけられると違和感覚えるんだわ」

「では遠慮なく呼ばせて頂きます、シシー先輩」

「ん? 先輩?」


 首を傾げるシシーにカトレアが、苦笑しながら今年の1年トップである事を教えてやる。


「ああ! 噂の! ソロで優勝したって聞いてたから会ってみたかったんだよ。よろしく」

「こちらこそ。二年トップでいらっしゃる先輩にお会いできて光栄です」


 和やかに会話する二人を眺めながらカトレアは、若いって良いわねぇとか思っていた。


「それで、えーと、私が何処に居たかだよね? 最下層だよ、迷宮主が居る」

「なっ……、もしかして、それでそんなに草臥れてるのかい!?」


 ずっと気になっていたのだ、暑い時期にシシーが好んで着る生地の服が傷んでいたことに。驚きもあらわに問いかけてくるカトレアに対し、シシーは顔の前で片手を振りながら「ちがうちがう」と言って否定する。


「これはフリージア先生との鬼ごっこのせい」

「なんだ、びっくりしたよ」


 思った事と違って安心するカトレア。

 支配種族が相手で草臥れるのには驚いても、フリージアが相手ならば驚かない、むしろ普通の事だと言わんばかりの態度が、フリージアに対するカトレアのイメージを如実に物語っていた。


「今日も相変わらずお見事でした」

「なんだいミカ、あんた観てたのかい?」

「ええ。お二人の動きは非常に勉強になりますので、なるべく観るようにしているんです。おかげで、教官の授業で黒焦げになる回数が目に見えて減りました」


 シシーとカトレアは思わず、顔の良い後輩に向けて同情的な視線を送った。シシーは目隠ししているものの、その雰囲気から分かる。


「困難な道を行くねぇ、あんた」

「今度うちの店に来るといいよ。よく効く回復アイテム割り引いて売ってあげるから」

「あはは、その時はお願いします」


 ミカの空元気な声が虚しく響く。

 フリージアは自分の授業を取っている生徒には教官と呼ばせているのだが、そのせいで生徒から密かに鬼教官と呼ばれて畏怖されている。彼女の授業は魔法抵抗や耐性をつけさせるのも目的の内であるため、生徒が満身創痍になるのは常であるがために……。

 おかげで、フリージアの生徒は頑丈さが群を抜いて高いともっぱらの評判であった。




「ところで、最下層はどんな場所だったんですか?」

「んー、迷宮主の陰気で傍迷惑な魔力が満ちてて、地面はデコボコ、肌寒くて土とカビの臭いが充満した極端に空気の薄い、口が裂けても居心地の良い場所とは言えない所だったよ」

「あんたじゃなかったら死んでたねぇ」

「本当ですね。僕も平気で済む自信ありませんし」

「ねえ、褒められてる様で貶されてる気がするのは何故?」

「気のせいよ」

「気のせいです」

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