とある猫人族冒険者の話(わんこ外伝)
「よーし、おきるぞ~・・・おきるぞ~・・・!」
朝だ。紛う事なき朝だ。清々しい・・・とはあまり言えないけど。
晴れすぎだよ、太陽の神様は今日も絶好調である。
自重してください、居るかどうかはしらないけどね~
やっぱりこの辺りは適度に雲が無いとダレるね、主に私が。
けど、そうも言ってられない。
今日は、この辺境の村に押し寄せてくる魔物の群れを相手にしなきゃいけない。
私も何度か先輩方に連れられて参加したけど、ものすごい量の魔物が押し寄せてくる。
まさか、今度は私が新人達を引き連れてここに来ることになるとは・・・
まぁ、その分報酬とか戦利品とかは美味しいんだけどねぇ~
―――さて、顔も洗ったし、歯も磨いた。
装備の点検も問題なし、あとは朝食を食べて、自分の部隊を率いて打ち合わせ通りの持ち場に着くだけか。
「おはよーございマース」
女将さんに、朝の挨拶をする。
「あら、おはよう。朝食は用意できてるよ!頑張っといで!」
なんと言うか、気前のいい、気持ちのいい女将さんだ。
「ありがとうございます。いただきま~す♪」
冒険者の基本その1、挨拶は基本であり、日々を無事に過ごすために必要なファクターでもある。
なんと言うか、先輩方にトラウマになるまで、そう叩き込まれた。
実際、交渉事や、打ち合わせをする時に、物事が円滑に進むことが多い。
このおかげで、命拾いをしたことさえある。
「うぃ~っす、おはざまぁ~っす」
「おっすおっす、おはよっす」
「おはようございマしタ」
「zzzz」
新人達も降りてきた。約二名、寝ぼけているのだけれど・・・まぁ、まだ少し時間が有る。
「おはよう、装備の点検はすませたかにゃ?」
冒険者の基本その2、装備の点検整備と体調管理。
これは絶対に忘れちゃいけない事項の一つ
装備がぐちゃぐちゃだったり、完璧に装備を整備していても、持って来ていなかったり
そもそも、依頼、出撃当日に体調を崩していては話にならない。
もしそのまま戦場に出ていれば、真っ先に死ぬか、仲間を巻き添えにして自爆するか、となる。
「ちょ~っとそこの寝ぼけてる二人をたたき起こしてくれないかな~?」
冒険者の基本その3、時間厳守
基本1,2が出来ていても、指定された時間を遅刻したり、期日を守れない者に報酬は無い。
仲間一人の寝坊のために遅刻しました~なんて、そんな甘っちょろい言い訳はこの先通用しない。
なので、少し威圧しながら起こすように言う。
「ひ、ひぃっ!?は、はいぃ!」
新人の中で一番最初に挨拶をした彼が、顔色を真っ青にしながら即座に反応する。
威圧や気配と言ったものに敏感なのか、必要以上に緊張してしまっている。
胆力不足かな?経験を積めばそれも直る・・・かも?
「?」
二番目の子は、何故彼の顔色が悪いのか気づいていない。
鈍感すぎるのはあまりよろしくない。要修正かな~?
「お、おい、お前等おきろって!!」
少し威圧したとはいえ、そこまで焦ること無いのに・・・お姉さんちょっとショック・・・
「んぁ・・・?おはよう、女将さん、朝食がお願いしまス」
それにしても寝ぼけすぎだと思う、もしかしたら、これが素なのかもしれない
それはそれで面白そうだけど、多分彼は寝ぼけている。
昨日とはまったく違うから。
「zzzz・・・はっ!?こ、ここは!?俺のハーレムは!?・・・あ!おねーさ~ん♪」
\ガバァッ!/
ようやく起きた最後のバカは・・・何と言うか―――
「はっ!?ちょ、ばっか、おま!?」
命知らずと言うか―――
「は~い、おはよ~ッッッ!!!」
―――殴られたがり?
「あばっふぐぶっ!?ぶべぇっ・・・」
ちょっと力いれすぎたかなぁ・・・?ちょっとこける程度だったんだけど・・・
「ちょ、何やってんっスかアンタァァァ!!?」
んっ?宿の外まで吹っ飛んだ?
ちょっとわかんないな~
「さ、さ~てそろそろ時間だし、そろそろ行こっか~♪あ、女将さん、行ってきま~す」
<あいよ~気をつけて行ってきな!
皆起きてるかな~?起きてるね~、じゃ~行こうすぐ行こうさぁ行こう。
「ロイが吹っ飛んでったままなんですけど!?」
「ちょっとわかんないな~、お前達もそう思うよな?」
あれ?何で二人とも顔色を真っ青にして首を縦に振るのかな?いくよ~?
「えっ!?俺がアレを引きずっていく流れ!?マジか!?」
さっきからお前が何を言っているのかわからないよ。
続く
あぁ、つまり、見せるべきところまでは見せた・・・と言うことだ。
この外伝の続きを期待するなど・・・とてもとても。