第三章 最強のゲイをめぐる戦いの始まり
数ヶ月後。道場の昇段試験で、ヒロミチと中田は再び対峙した。
中田はいつも通り、ヒロミチを嘲笑おうとした。しかし、今のヒロミチからは、以前のような弱々しさは微塵も感じられない。
「いくぞ、中田。君を……力ずくで抱きしめてやる」
ヒロミチがステップを踏む。その動きは舞踊のように美しく、かつ力強い。
「な、なんだこの圧は!? 身体が……熱い……!」
中田の攻撃が空を切る。ヒロミチの放つ「ローズ・アッパー」が中田の顎をかすめた。ダメージではなく、甘美な衝撃が中田の脳を駆け巡る。
「ヒロミチ……お前、まさか……!」
中田の顔が赤らむ。バイとして覚醒しつつあった中田にとって、今のヒロミチは単なる格闘の対象ではなく、一人の「男」として、強烈なライバル意識を抱かせる存在へと変わっていた。
「面白い。お前がその道を選んだというのなら、俺も全力で応えてやる!」
激闘の末、二人は互いの拳を通じて魂を交わらせた。
トモヒロ師匠は腕組みをしながら、その様子を高笑いと共に眺めていた。
「いいわ、いいわよ! これこそが漢の宴! どちらが次世代の『最強のゲイ』の座に就くのか、じっくり見せてもらうわよ!」
ヒロミチは真っ直ぐに中田を見据えた。
「中田、次はリングの上じゃない場所で……ゆっくり話そう」
「……ふん、負けないぞ。お前のその愛、俺が奪ってやる」
世界最強のゲイ・トモヒロを頂点とした、男たちの熱く、激しく、そして美しい戦いは、まだ始まったばかりである。




