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第一章:震える拳と偽りの日々
「おい、ヒロミチ。またその程度か?」
砂埃が舞う道場の隅で、ヒロミチは地面を這っていた。目の前に立つのは、同門の天才・中田だ。中田は鋭い眼光でヒロミチを見下ろし、吐き捨てるように言った。
「お前の拳には『芯』がない。女にモテようとして格闘技を始めたような軟弱な奴に、俺が負けるはずがないだろう」
中田は今、道場内でも「成長中のバイ」としてその二面性のある攻撃スタイルで注目されていた。荒々しい打撃の中に、時折混ざる妖艶なフェイント。それが彼の強さの秘訣だった。
ヒロミチは悔しさに唇を噛んだ。しかし、自分でも分かっていた。自分の中に眠る「何か」を、世間の常識という鎖で縛り付けていることに。
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