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3.好きな人の好きな人

好きな人に好きな人が居ると知った時の気持ちってどんな気持ちなのだろうか?

俺はあるようなないようなって感じっすね。

そうしてあっという間に土曜日になる。

いつもよりおしゃれして頑張っていると家を出る時に湊に出くわした。

「おはよう!」と私が言うと「どこ行くんだよ」と聞かれてなんでそんなこと聞くのかなと思いながら「友達と映画観に行くの」と答えると湊は「あっそ」と言う。

「そういう湊はどこ行くの?」と聞くと「お前の家に差し入れ」と言った。

「ありがとう」と 言うと「別にお前の為じゃねぇよ」と言われた。

「そんな言い方しなくてもいいじゃん」と 言うと湊は「行ってらっしゃい」と言った。

私はムッとしながらも「行ってきます」と言って 門を出る。

待ち合わせの公園に行くともう翔君が着ていた。

「ごめん!待たせた?」と言うと 「大丈夫!でも遅れるなんてなんかあったん?」と聞かれて朝、湊と家を出る時、会った話を すると「そうなんや」と笑ってくれた。

そして二人で駅に向かった。

駅に着くと翔君が切符を買ってきてくれた。

驚いて「ありがとう。えっとお金は…」と言うと「大丈夫!僕に任せて」と言った。

男子ってこんな感じだっけ?と考えていると「涼花どうかしたん?」と聞かれて 慌てて「ちょっと考え事していたごめん」と言うと翔君は「なんで謝るん?」と言われた。

確かになんで謝ったんだろうか。

あっ思い出した。「せっかく翔君と居るから」と言うと

「僕の事は気にしなくてええんやで」と言われた。

私は気づくと「翔君はもっと自分を大事にした方が良いと思う」と言っていた。

私、何言っているのかな。

出会ってまだ一週間も経って いない人の事に口出しするなんて。と思っていると「そういえば涼花門限って六時やんな?」と誤魔化された。

「多分そうだよ」と言うと翔君は「多分って自分の家の門限分からんの?」と驚かれた。

私は迷いながらも「六時なはずなんだけど」と言い少し間を開けて 「よくいきなり湊が来て今日の門限急に五時になったとか言うんだよね」と言うと翔君は 笑ってくれた。

私、翔君の事好きなのかな。

恋しているのかな。

こんな風に二人で会っているって事は翔君も私に好意があるのかな。

夏祭り一緒に行きたいなと考えていた時だった。

電話が鳴った。翔君のスマホだった。

翔君は電話に出て「どうしたん桃葉?」と言っている。

中野さんからって事?私は何故かとても泣きそうになった。翔君は「明日?いいで」とか 言っている。

明日会うのかと心がきしんでいく音がする。

そして電話が終わった時には 私の心は傷だらけだった。

そしてやっぱり翔君が好きなのだと自覚した。

翔君はすぐに私が 元気がない事に気づいた。

「涼花どうしたん?」と聞かれる。

私は迷いながらも決意した。

「翔君って好きな人いるの?」と聞いた。

すると翔君は「あぁいるで」と言った。

私は確実に今、心が割れた音がした気がする。

その時だった。

電話が鳴った。

森田さんだった。

私が出ると森田さんは「月原さん。この前は決めつけてごめんな」と言われた。

私は焦った。

まさか森田さんが謝ってくれるとは思っていなかったから。だってあのいつも言い訳ばかり 言っている森田さんがだよ?びっくりしながらも「私もあの時は変な事、聞いてごめんね」と 言うと森田さんは「別に変な事ではないだろ」とあの時の私を肯定してくれた。

その優しさについ甘えたくなる自分が居るのは気のせいだろうか。

森田さんは本当に不思議。

普段はトゲがあるのに急に優しくなる所とかいつも困惑してしまう。

それにね、あの優しい 瞳で見られたら心を締め付けられた様な気持ちになるの。

息が止まるの。

固まってしまうの。

だからとても怖いはずなのに、またあんな瞳で私を見てほしいと願ってしまうの。

そして、 あんな瞳、他の誰にも向けないで欲しいと思ってしまうの。

この気持ちはなんなのかな。

森田さんが「月原さんそれじゃまた学校で会おう」と言って電話が切れた。

翔君が「森田君となんかあったん?」と聞かれて「別に何もないよ」と言うと翔君は 「そうなんや」と何故か少し悲しそうに言った。

なんで翔君がそんな目で私を見るの?

傷ついているのは私の方なのに。

翔君きっと中野さんの事好きなのよね。そりゃそうだよね。

私よりも可愛くて綺麗で笑顔まで素敵だもの。

その上明るくて…私だって翔君の事好きなの。

翔君、どうして私の気持ちに気づかないのかな?

それとも気づいていてわざと私を映画に 誘ったの?

ねぇ、教えてよ!教えてほしいのに聞けない。

この気持ちはきっと恋なのかな。

映画館に入り映画のチケットを買ってポップコーンを買い席に座る。

ポップコーンは 二人でМサイズを一個にしたの。

翔君がそうしようと言ったから。

まぁ深い意味はないだろう けどね。

翔君の事が好きだって伝えたいのに、もう伝えられない。

だって翔君にも好きな人が居るから。

翔君を困らせない為に言わないでおこうって決めたの。

今まで私フワフワしすぎていたのかな。

翔君が中野さんが好きなんて簡単に分かる事なのに気づかなかったとか本当に バカみたいだね。

それでも、傍に居たいよ。

でも、傷つかない為にも一回距離を置こうと私は思った。

その方がきっといいと思ったから。

好きだと恋だと気付いた時には失恋だなんて どんな恋なのかな。

神様、ひどいよ。

こうなるならこんな気持ち知りたくなかったよ。

翔君とずっと友達で居たかったよ。

私が辛くて泣いていると翔君が気付いて「涼花って涙 もろいんやな」と言われた。

えっ?と思っていると映画のシーンがとても感動的な所だった。

あぁそういう事か。と思って「めっちゃ感動した」と言うと「そうやな」と言ってくれた。

そして、映画館を出ると昼の十二時半だった。

お腹すいたな。と思っていると翔君が 「この上にフードコートあるしそこ行く?」と聞かれて頷くと「涼花は何食べたいん?」と 聞いてくれた。

「ハンバーガーかな」と言うと「分かった。味何が良い?」と聞かれて 「チーズかな」と言うと「オッケー!買ってくるからちょっと待っていて」と言って少し急ぎ気味に向かって行った。

彼の後姿を見るだけで心が痛む。

好きって痛いのね…。なんて今更 気が付いた。

私これから翔君とどんな風に接したらいいのかな?

誰か教えてよ。と思った時、 ふいに『月原さんいつでも俺に相談して』と言っていた森田さんの事を思い出した。

いいよね?だって森田さんがしてって言ったのだし。

翔君がやって来て 「お待たせ」と言ってチーズバーガーを買ってきてくれた。

いくら翔君が優しいからってさすがにお金払わなきゃと焦っていると「涼花、気にせんくていいから」と言われた。

でも、と思っていると「今日、涼花と過ごせるだけで僕は嬉しいから」と翔君は言った。

翔君が引き下がらないと気付き私はお金を払う事を諦めた。それどころかさっきの言葉が 頭から離れなくてドキドキする。

ほんと好きな人がいるならどうして私に優しくするのかな。

私、勘違いしちゃうよ?これ以上優しくしないでほしいよ。思わせぶりな態度取らないでよ。

翔は本当は誰が好きなのでしょうか?

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