17.朝陽の白雪姫作戦
俺は次の日になり学校に行く。春日は居ない。当たり前だけど辛かった。
涼花が心配そうに俺を見ている。だから「俺は大丈夫だぜ」と言う。
それを聞いて涼花が「じゃあもしかして…」と呟く。
正直に昨日遭った事を話した。涼花が「そんな…なんで翔君が」と言う。
俺は答えない。あれはだって悪魔で推測だから。それに蓮さんの話だし。
きっと勝手に語るのは失礼だし無礼だろう。涼花は俯き、でも笑った。
だから俺は、涼花を少し小突いた。「作り笑いすんなよ」と言って。
涼花が「よく見抜けたねー」と言う。当たり前だろと心の中で呟く。
そこに日向が見つめている事に気づいて俺は話しかける。
「春日ならきっと大丈夫だ」と言う。日向は抑えながら強くこう言った。
「お前が翔を分かった様な口利くの凄くムカつく」
その言葉に俺は動揺した。つい聞いてはいけないような事を口走る。
「日向ってさ、もしかしてだけど春日の事好きなのか?」
彼は一瞬、固まっていた。その後「そんな言葉で表さないでくれ」と言い去った。
涼花が「朝陽ごめんね。湊って口下手だから」と言う。
そんな事、知っていた。俺が傷ついたのはあいつが心を閉ざしたからだ。
やっぱり春日が居なきゃ日向は救えない。悪い方に傾いてもおかしくない。
あぁもう俺はどうすりゃいいのだよ。泣きそうだぜ。
事態がこんなにも悪化していたなんて。それよりも日向が変だ。
涼花が好きなのではなかったのではないか?それとも春日に変わった?
それよりもきっと本人は気づいていない。これでは春日が可愛そうだ。
日向を傷つけない、困らせない為に心を閉ざすほど闘ったのに…。
これはガツンと言ってやりたいけれど春日に確認も取れない。
俺まで精神が不安定になって来るぜ(笑)。とにかく頑張ろう。
彼らを助ける為に。まずはあいつの意識を戻さなければ。
俺は走って日向の所に行く。ごめんな春日。俺は最低な奴だ。
それでもいいからお前にまた会いたいのだ。
だから…俺の推測を日向に伝える。作戦もだ。
好きなのだ。きっと日向は春日が。だけど、認めたくないのだろう。
目が覚めたら春日に本当の事を全部言おう。きっと嫌われてしまうな。
それでもいい。彼に意識が、心が戻るなら。戻って来てくれ春日。
俺はきっとお前を友達だと思ってしまったのだ。大切な友達なのだ。
だから、もう一度お前の声が聞きたい。笑ってほしい。幸せになってほしい。
お前は何度も倒れた。だけど…いつも一時間後には起きていたではないか!
放課後になり日向と一緒に春日家に来る。連さんは快く受け入れてくれた。
春日は眠り姫のように眠っている。あっ!そうだ白雪姫は王子のキスで目覚めた。
なら春日だって日向のキス?想い?が伝われば目覚めるはずだ。
「日向」と俺は呼びコソコソと話す。日向は「俺がやる」と言った。
心底驚く。本当に日向が春日を好きになっていたなんて…。
でも、嬉しかった。あいつの想いがようやく実って。
涼花をあいつから奪ってしまった日からずっと気にしていたから。
日向が春日の髪にそっと優しく想いを込めてキスをした。
その瞬間。苦しそうだった春日の顔が和らいだ気がした。
そしてパチッと目を覚ます。翔はずっと待っていたのかもしれない。
来ないに決まっている彼からの想いを。でも、それは来た。
だから、心を閉ざしていたものが幕を開けた。
クライマックスきた!
エピローグまで後二話っす!




