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13.本当の気持ち

そう言った私に翔君は「そんな事ないで涼花は何も悪くないで…悪いのは僕やで本当はずっと気付いててん涼花が森田君の事が好きな事。

出会った日から気付いていた。

だから…涼花が五月の終わりごろ告白してきた時は…嬉しかったけど本当はあの時も好きだったけど認めたくなかった。

だから涼花を振った。

でも…夏休み実家に帰って元好きだった人に会って告白した時に翔はもう私の事好きじゃないって言われて本当はあの時薄々認めていた。

それでここに帰って来てふと一人で夏祭り見に行ったら浴衣姿の涼花が目に入って、でも…森田君といて苦しかった時やっと認められた。

認めるしかなかった。

その後、涼花に告白する事を決意して二学期に入ったらすぐに声をかけた。

いいって言われた時嬉しかった。

でも…涼花が本当に好きなのは僕じゃないのになって思った。

でも、涼花の傍にいれるならいいやって僕最低な事した。

涼花をこんなにも悩ませた。

本当にごめんな」

本当の事を全部教えてくれた。

私…バカだったな。

翔君が私の事、嫌になるかもしれないなんて考えてしまうなんて。

翔君は優しい。

謝らなきゃいけないのは私の方なのに「どうして翔君が謝るの?」と私が言うと翔君は「それはこっちのセリフや」と言われた。

清々しくて寂しそうな笑顔だった。

翔君は「それでも僕は諦めないで」と言った。

その言葉に私の心臓がドキドキと音を立てる。

自分の本当の気持ちがわからなくなっていく。

翔君は凄いな。

自分の想いをいつもしっかり持っていて今もゆるぎない気持ちを持っている。

それに比べて私はなんて意思が弱いのかな。

そんな事を考えながら空を見上げると夕焼けが輝いていた。もうすぐ暗くなるなと思い「じゃあ翔君。また明日学校で」と言い「私達もう別れたんだよね?」と言うと翔君は「あぁそうやな」

私達は二か月で別れた。

次の日学校に行くと森田さんを見つける。

「森田さん!」と声をかけるけれど森田さんは「なんだよ?」と冷たく言い放った。

私は「翔君とは昨日別れたよ」と言うと森田さんは「そうなんだーそりゃ残念だな」と言い私から逃げる様に去って行った。

あんなにも分かりやすく拒絶されたら近づけないじゃん。

私はその場に突っ立たままそう思った。

あの日、夏祭り行ってくれたのに…好きだと言ってくれたのにあんなにも毎日電話をかけてくれたのに…どうして急に拒絶するの?

席に座ると翔君が「森田君…きっと傷ついているんやないか?」と言ってきた。

その時ふと湊と最後に話した時の事を思い出した。

『あいつさ自分勝手にしている様にふるまっているけど…本当は人一倍顔色伺って過ごしている』『だからあいつはっ!…なんでもねぇわ』だった。

森田さんはもしかして私の事が今でも好きなのかな?

だから傷ついているのかな。

私…なんてバカだったの。

彼の本当の気持ち何一つ理解できていなかった。

自分の鈍感さに落胆してしまう。

でも…こんな私でも彼はきっと受け止めてくれるよね…。

だって私が自分を好きになれたのは彼のおかげ。

あの…入学式の日『目立つのが好き』と彼は言った。

その後の言葉は忘れるはずがない。

私を暗闇から救ってくれた言葉『俺の人生、悩みばっかだ。でもその多くは、実際には起こらなかった。

だからもううじうじ考えんのは今日からやめる!』

あの言葉に私はどれだけ救われただろう。

ネガティブな事ばかり考えて同じことを何度も悩み続けていた私を彼が変えてくれた。

評議委員にチャレンジできたのも彼のおかげだ。

あの日彼が私のモノクロだった世界を色づけてくれた。

その後も彼は次々と私にとっての名言を残していった。

『人生は楽しい。だって他に何があるんだ?』

いつも色々な言葉を毎日引用してくる。

でもそれが毎日楽しみで仕方なかった。

…あぁ私って本当にバカだったな。

あの時から彼の事が気になっていたのにずっと認めるのが怖くて逃げていた。

そして怖くて不安だから森田さんの事が苦手なのだと思い込んだ。

嫌いだって自分に言い聞かせていた。

『誰かがお前の価値を理解できないからといって、お前の価値が下がることはない』

この言葉は確か…評議委員の雑用をしている時彼が呟いていた言葉だ。

これも何かの名言からとってきたのだろうけれど心に酷くささった。

私…ずっと前から森田さんが好きだったのだ。

あいつに恋しているの。

ならば言うしかないじゃないか。

伝えなきゃいけないではないか。

伝えなければ一生後悔する事になるだろうから。

伝えても後悔するかもしれないけど…でもそれでも私は森田さんに本当の気持ちを伝えたい!

だって…好きだから。

私は必死に森田さんを探す。

でもみつからない。

どこを探しても…教室にいない。

見つかった時にはチャイムが鳴る。

どうしてなの?私に話しかけるチャンスを頂戴よ。

私、やっと自分の本当の気持ちわかったのに森田さんが拒絶したら近づけないじゃん!

また昔の自分が戻ってきている。

同じ事を何度も考えてしまう様になってしまった。

私の世界に影をさしてしまう。

もう自分じゃどうにもできない。

私は暗い夜におちていった。

自分でも、もう何がどうなっているのか理解不能だ。

土砂降りの雨に飲み込まれるような気持ちに私はなっていった。

朝陽を傷つけたのは他でもない涼花だ。

でも、頑張って欲しい。

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