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プロローグ 儚い出会い

今回の話は儚い恋物語シリーズの月原 涼花を主人公として書く。第一巻です。


ある日の事、私は親と言い合いをし明け方四時に家を飛び出した。


三月四日の事だった。走って走って着いたのは月空公園。


誰も居ないのを良い事に私は湖の傍で大泣きした。辛かった。


誰の一番にもなれない事が。作り笑いをすることも、もう疲れたのだ。


もういっそこの湖に飛び込んでやる。


私がまだ暗い闇の中、湖に飛び込もうとした時だった。


誰かが「お前こんな暗いのに何やってんだよ」と聞かれた。


私は急いで作り笑いをして「あはは!なんでもないよー」と言い彼を見た。


真っ暗で顔が分からないはずなのに彼は…


「作り笑いすんなよ。お前には素顔が似合っている」と言った。


その瞬間私は救われた。真っ暗だった世界が朝焼けと一緒に輝きだした。


でも彼の顔が何故か分からない。朝焼けに反射して彼の顔が分からない。


でも髪は栗色なような気がした。彼はとても細くて今にも消えそうだった。


儚かった。朝焼けと一緒に消えてしまうかもって思った。


でも彼は はっきりと「あのさ今日の月綺麗だよな」と言ってきた。


心臓がドキドキとする。


彼はその言葉の意味を分かっていて使っているのだろうか。


だとしたら…と私は思った。私は何て言おう。


そうだねって言えばいいのかな。


でもまだ出会ったばかりなのに…おかしいよね。


私が黙っていると彼は 「まぁいいや」と言い


「君の名前を教えてよ」と聞かれて「月原 涼花」と 答えると


彼は「オッケー!涼花」と言った。「いきなり名前で呼ばないでよ」


照れ隠しで私が言うと「じゃあ月原さん?」と聞いてくる。


私が頷くと「オッケー」と彼は言う。


「何歳?」と聞かれ「十歳」と言うと彼は「自分も」と言い


太陽のような笑顔で「同い年って事はまたいつか会えるかもな」と言い


「自分はさ、まだこの町の 人間じゃない。


ちょっと遠い県に住んでいるんだ」と言った。


もう会えないのかもしれないと知り私が泣きそうになっていると


「絶対にまた会えるから」と言い「自分、太陽寺」と言い珍しい名字だろ?


「なんで今ここにいるの?」と聞いたら


「下見だってお母さんが言っていた」と 彼は言った。


私は「そっか」と言うと「だから、いつか絶対ここに来るよ」と 言った。


彼が本気でそう思って言っている事がひしひしと伝わってくる。


だから私は素顔の笑顔で「そうだね」って言った。


そう言えば本当に彼がまた来てくれると思ったから。


まだ四年生だった私はそう思った。彼が嘘をいうわけがないと。


彼は寂しそうな顔で「月原さん。自分…一人になるのが怖い」と 言った。


私が「お母さんがいるじゃないの」と言うと彼は決まりが悪そうに


「あっ!ほんとだ」と言い「変な事いってごめんな」と言った。


そんな今にも消えそうな彼に私は「私が傍に居るから大丈夫よ」と言い


「離れたってずっと傍に居るよ」と言うと彼は太陽のような笑顔で


「ありがとう」と言い「俺はお前の味方だ」と言った。


だから「私もあなたの味方だよ」と言うと


彼は微笑んで

「もしいつかまた出会ったら月が綺麗だよって言ってくれよな」


「だって昔の人が好きだって伝える時そう言っていたらしいぜ」と言った。


そして朝焼けと一緒に消えてしまった。私の言葉も聞かずに彼は去った。


今思えば本当に自分勝手な人だったな。


もう一度彼に会いたいけれど…きっと 叶わないよね。


だって、よく考えてみれば彼はフルネームを教えてくれなかったの。


だから…。本当にひどいよね。でも、それでも彼に会いたいよ。


ねぇ貴方に会いたいよ。


貴方のいない世界はひどく退屈で寂しい。


こうなるなら出会わなければよかったのかな。


ただ貴方の傍に居たいだけなのあの太陽の様な笑顔をまた見たいだけなの。


私の願いは深い闇に飲み込まれるように…いつか消えるのかな。


彼はあの日あの時何を 考えていたの?


私、どうしてこんなにも彼の事が忘れられないのかな。


あの日からもう あんなに経つのに。


私の出会いは儚かった。


儚すぎた。


幻みたいに消えてしまった。


今じゃあれは湖の傍で寝ていてみた夢じゃないのかなって思うくらいに儚かった。


でも…ふとした時に彼の言葉を思い出してしまう。


彼にもう一度会いたい。


夢でもいいから…

二人はもう一度、会う事が出来るのでしょうか?

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