〜4〜 回想
思い出したくないこと思い出すとあわわー!ってなる。
ありがとうございました!!!
ました!!!
練習試合が終わり敵コーチからのアドバイスを貰った。このどこかチーム一体の雰囲気に感じていた若干の居心地の悪ささえ懐かしい。そう、懐かしいんだ。
俺は咄嗟にゴールスコアへ駆け寄る。自分の行動に想起された。練習試合が終わって片付けの時間だ。次はボールを倉庫に。その次はゴールをチェーンで畳む。それからタイマー、作戦ボード、長机、、、。ベンチだった俺にとってこの雑用係にこそ存在価値みたいなものを見出していた気がする。そんな中学生にして少し歪な承認欲求すら懐かしい。
うんうん。懐かしいとは素晴らしいものだなぁ。そういえばさっきの試合勝ったっけ?
もう覚えていることはただ一生懸命に走ったという記憶だけ。他は何もかも曖昧だった。でも、当時もそんな感じだったかと思い出す。練習試合は特に。
片付けが終わって俺たちは体育館の隅でバッシュを取り外す。この次にすることは何だったか、俺は何となくみんなを見渡した。みんな、楽しそうに笑っている。相変わらずに。俺は聞き流すようにしながらも心の隅でクスッと笑ってた。そういえばこんな日常だったっけ。そうして俺達は立ち上がる。体育館に一礼し、行き先は...そうだ、下駄箱。次することは確か...。
たっくん〜。
あいつが話しかけてきた。よく見てみると下駄箱がない。ドアの先がキラキラ白く輝いてる。そう表現する他ない。どうやら終わりのようだ。なんて返事しよう。そう考える暇もない。歩いていく先は出口。「あの頃」の一片とのお別れ。だから特に何も考えることもなく応える。先頭のあいつが光の先へ消えた。俺ももうそこ。強いて言うなら「せめてたっくんである巧らしく」、、、なんてな。
相変わらず俺はカッコ悪くカッコつけた。
〜♪
すごく心地よい。意識が飛んでたみたいだ。小鳥の囀りのようなか細くも耳に心地よく受け入れやすい声。声、、、?そうだ、これは声だ。この声は、確か、、、。
、、、マ、、、ママ、、、。
こーら!ママじゃない!メ、ガ、ミ!!!
俺は前方へ転がる。寝そべった「まま」全力で。その(まま)恥ずかしさも置いて行きたがったが上手くいかなかった。なんて恥ずかしいんだ。母親はお母さんと呼び、一度も人にママなんて言ったことなかったこの俺が、、、。
す、すみません!アリア様!俺なんか意識が飛んでてそれから!、、、あれ?
涙がツーっと流れ落ちた。それも片目だけに。
...。俺、真っ直ぐ行けましたか?
うん。行けたよ。しっかりここに来た!
そう、ですか。良かった。
そう言うと何だか安心しきって座り込む。なんか長いような短いようなそんな儚くも濃い夢を見せられた気がする。
また膝枕、、、する?
いい、んですか?
うーん、やっぱり涙で濡れるからヤダ。
ガーン!
何だかフラれたみたいで俺もヤダだった。
だからこうする!
俺の後ろからアリア様が抱きつく。冗談でも何でもなく、ただただ、本当に、救われた気がした。
頑張ったんだね。たっくん。
...はい...!
膝枕じゃなくて良かった。
いよいよシュッ!パーツ!だよ。