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〜2〜 旅立ち

あなたにとって旅立ちとはどんなことでしたか?

そしてなんやかんやとあっておよそ一か月半程の最後の地球生活に幕を下ろそうとしていた。そんな中、俺はというと、、、


ふぅー!やっぱ温泉サイコー!


やっぱり温泉だった。それもいつもの通っていた地元の。


その日初めてお湯に浸かるこの瞬間がたまんないんだよなー温泉って。それに、今の心境をこうも大声で叫べるというものは気分の悪くないものだ。


そりゃ俺だって色々チャレンジしたんだぜ。なんせ最後の地球なんだから。とりあえず空港に行って現存する旅客達と一緒に海外へ出たりしてみたんだが。


文字が分からん!!!


分からないだけならいいものの助けを求めることもできないんじゃ、どうしようもないよね。こんなことなら生きてるうちに色々勉強するんだったな。


おまけに死者だけの特殊能力的なワープ能力が備わってるわけでもなく、帰りの飛行機の客から妙に異文化を感じると思ったらさらなる海外に飛ばされるわ、一人海を飛んで渡ろうとするもすげー怖いし時間かかるしで、、、


ここに落ち着くんだなぁ。


いつもの温泉で、いつもの浸かる順序、浸かる位置で死を生きる。旅行帰りだからこそいつもの日常が当たり前にあることのありがたみがさらに増す。


でも日本温泉巡りは本当に楽しかったな。巡っていくうちにどんな温泉のタイプなのか見極めることもできるようになったし。山の上の温泉、海の見える温泉、街中にある温泉も巡った。そしてここに戻るのもなんかエモい。


いつもの温泉はリラックスできますよねー。

そうそう、いつものは、、、ってアリア様!

こんにちは!巧さん!


ハズカシィ!!!誰にも聞かれてないと思って話してた独り言だったけどこの人には通用しないんだった。


どうやら楽しんでもらったみたいで良かったです!この制度けっこう使い所が難しくて、虚無な49日を過ごす方もいられるんですよ。

へぇーそうなんですねぇ。


(ふっ!やはり俺のようなぼっ、、、孤高!の境地に達した人間にとって1人の嗜みは慣れたものよ。)


今すぐってのもあれなので今日の6時にまたお迎えに来ますねー。

あっ、ありがとうございます〜。

はい!それでは!


全く、アリア様に1人で喋る奴だって嫌われたらどうするんだ。まぁ実際そうなんだけど。んっ。ちょっと待てよ。ここは温泉。何もかもを取っ払うこの空間に来たってこと、、、は、、


俺は自分の身なりを確認する。


ハ!ハズカシィ!!!!






時刻は既に18時を過ぎる。


そろそろだよな。アリア様。


脱衣所で着替えたいのだがそこに来られるのはハズカシィ極まりない。10分前行動すべきだったと少し後悔する。だが、大丈夫。いつだってぼっちの着替えは早いと決まってるものだ(俺発祥)。いつになくスピーディに着替え終えた俺はとりあえず休憩するかという思いでリクライニングコーナーに行くと、


ここ良いですねー。ドリンクも付いて。


アリア様じゃないか。それもいつもの女神コスじゃない、和服コスじゃないか。


そうなんです。俺、会員だったんですよ。

へぇー。相当温泉好きだったんですね。

よく渋いって言われてました。

巧さん、まだ若いですから。


私も仕事帰りに地球の温泉でも巡ろっかなー。

向こうにも温泉ってあるんですか?

ふふふ。それが、あるんです!

本当に?!

はい!それも、とびきり巨大です!

す、すごい!


全国温泉巡りを経て温泉好きから温泉ソムリエと成った者として是非とも行ってみたいものだ。


向こうの温泉は結構自由がいっぱいで読書できたり、プールっぽい所もありますねー。もちろんここみたいに静かに落ち着ける場所もありますよ。

へぇー。テーマパークみたいな温泉ってことか。すごいな。

どんなところかは行ってからのお楽しみですけどね!


新しい世界に行くと思うと単純にワクワクした。


それじゃあ行きましょうか!天界へ!

はい!アリア様!

一応出発点がここの温泉になっちゃいますけど大丈夫ですか?最後に寄りたいとことかは?

いえ、大丈夫です!もう思い残すこともないですし。


ふと、赤いのれんから出てきた女性客の方に目をやる。自然とそうなってしまった。


ああ!巧君?一応この49日制度には掛けるべき規制が設けられてたんだけど。

そ、それがどうしたんですか?!

見た?

見てません。(キッパリ)


ジーーーー(アリア様がジッと俺を見つめる。)


俺はとてつもなく綺麗な瞳を前に深く動揺する。そういえばこの方女神だった。


すぴません…(ボソっ)






施設を出ると、外は夕焼け。時期に日が暮れようとしている。俺はこの情景とアリア様の寛大な優しさに報われていた。


規制があるからこその自由な49日間だからね。お咎めはこのくらいにしてー。


真っ直ぐで何も迷いもない手が俺の元に差し伸べる。


行こう!


元気いっぱいの導きに、俺も答える。


はい!


人だった僕は変わり、空へと昇りゆく。視界は淡いオレンジに包まれる。


綺麗、、、だなぁ。

お空?

はい!俺、青空や空を見るの好きだったんです。空だけは地上と違って何にも縛られてない気がして。

向こうも綺麗な空がいっぱい広がってるよー!ずっーと見てたいくらいにねー!


私達は昇り昇りゆく。あんなに遠かった空が今目の前に溢れている。憧れが今ここに。なのに、何故だろう。ちょっぴり寂しかったのは。俺は下を振り返った。そこには俺のいたいつもの街。夕焼けが終わり、夜景が淡く灯っている。相変わらずごちゃごちゃしてるなーと思っているうちに遠く小さくなっていった。


グッパイ...地球...。またな!みんな!




夜空には確かに二人の人影と星のように輝く、小さな流れ星が彼らを引いていた。

朝ぶっ通しで書いたのでちょっと疲れました。トホホ。

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