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第八節 エルフ最強種ゆえ 1

おはようございます

舞台はエルフの里、もう終わりに近づいてきました。

端折りまくってますし、そしてエルフと言えばフリーレン、フリーレンといえば、私の大好きなキャラが一人います

 人類最大の国家エスクラベルテは一夜にしてその姿を変えた、国王の崩御に国王が謳った人類最強の騎士は四等分に分断されて死に絶え、突如として現れた魔王の四天王を名乗る魔族の男は、その工程には確実に矛盾が生じている裂傷により死体となり、今は既にそれぞれを棺に入れて供養している。

 それを実行した存在、この国が国家反逆罪を定めているかは知りもしないが、その犯人は今も野放しで放って置かれている。

 国家の状況が芳しくない、というよりは世界的な情勢が一度に崩れている、国王が討たれたことによる主従の首枷は機能しなくなり、共存を望む魔族は真の意味で解放され、人類とようやく対等な存在として会話を試みようと考えたのだろうが、多くの人類がたった一日で自らが住まう国家を放棄した。

 大半の人類は自らが上だという状況を活かし奴隷のように扱っていたのだ、安全が保障されていればどれだけ強い存在であってもそれを自分の力の様に振る舞えた。

 その安全装置が無くした途端、魔族とはどういう存在かを思い出し報復を恐れ逃げ出したというのが現状だ。

 無論最初から魔族との真の意味で共存を望んでいた人類も居る、そういう彼らは残ってはいるモノの流石に数が少ない、これでは客観的に見てしまえば人類最大の国家は魔族に略奪されたと言われても仕方の無い事かもしれない。

「善い事をしたんだよな?多分…」

 先の戦いで崩れた瓦礫を退かしながら、青年は本当に善い事をしているのかと自分に問うた。

 いつぞやの船旅で魔族の青年が語っていた言葉が思い出せるようで思い出せない、記憶に靄がかかったかのように記憶には残らず、顔も声も表情すらも生涯かけても思い出せそうになかったが、魔族の青年は確かに人類と共存したい、それが自分達の夢だと嬉しそうに語っていた、そうだった気がする。

「これも禁忌たる存在ってやつの定めなのかな?」

 いつの頃からかは知らない、でもどうしてかエトワは記憶の定着が苦手になった、あの星空の下で見た剣の事ばかりを考え始めた辺りから、記憶も会話も人も全てがどうでも良く思えてあの星空の下でみた剣を越えることばかりに躍起になっていた。

「シエルを待つのも暇だ、どうしてかあの一件以来拘置所に戻っても追い返されるし、誰かとすれ違っても追い返されるし、……でも偶に感謝はされたな」

 感謝をされたという事は、エトワのした行いは間違いなく善い事だったのだろう、でなければもっと嫌な視線を向けられる筈だ、偶然なのかそれとも昨日の出来事がそうさせているのかそれ事体は定かではないが、醜悪なモノを見るような視線を向けられることはあっても、国王を殺したのにも関わらず罪人を見るような視線は向けられていない。

「まぁどうせエルフの里に向かうのは魔法都市とエスクラベルテの間にある別れ道を通らなくちゃならない、そっちに行った方が時間効率もいいか」

 そう決めたら動いた方が善い、この国でやることも元はと言えば物資補給だったがここまで人類が居なくなったら店の一つも空いて…いた。

「逃げないんだ、てか嫌な顔もしないんだ。俺が通り過ぎると皆が嫌な顔するんだけどね」

 商人は素っ気ない顔をし、選ぶ物があれば選べといったよう仕草を顎で示す。

「お前は俺がお前に勝てると思っているのか?勝てる筋があると思うか?だとしたらお前は魔物以下の馬鹿だな」

「馬鹿なのは否定しないよ、昔から記憶することが苦手なんだ。でもアンタは少し他の存在とは違う気がする、まぁいいや路銀少ししかないんだけどまけてくれる?」

「もう商売なんて成立しない、隣の店を見ろ夜中街を抜け出した連中たちが貪るように漁っていったんだぞ?お前も好きな物を取って勝手にこの街を出ろ」

「それはダメだ、それは善くない事だ。アンタが納得して俺に無料で卸すというなら話は別だけど、でもアンタはまだこうして店を開いている、アンタにはまだ店を続ける気があるんだろ?」

 そうでなければ店にOPENと掲げた看板を置くモノか、それは未だこの国で商人としてやっていきたいという心の現れだ。

「別に俺じゃなくてもいいのさ、ただ魔族も人類も食う飯がなくなったら困るだろ?」

 呆れた笑い方をする白髪交りの中年が目の前に居る、確か船旅の時も彼に似たような笑われ方をされた気がする、しょうがないしょうがないからと言い訳を付けても自分がやるべきことをやり通す、それが知性生命の生き方というモノなのかもしれない。

「やっぱりアナタは善い人だ、だから適正価格で買うよ、これで買えるモノをくれ」

 中年の男性は少し顔をしかめながら、ただ一言紡いで見せるそれは非情に酷な宣言だ。

「これで買えるのはリンゴ一個精一杯だな…かッはッは、お前本当にこの世界そのものに興味が無いらしい…、気に入ったこれもくれてやる」

「…リンゴ…一個…、ん?それは?」

 商人の中年が取り出したのは、保存食一式が入った手荷物を渡される、何もしていないのにくれるというのは、なんだか気が引ける。

 だがしかし中年は持っていけと言わんばかりに押し付けてくる、だからこそこちらも渡されたモノを受け取り、そして受け取った手を突如として両手で握られた。

「なに?」

「きっとお前を歓迎する存在は誰も居ないだろう、その生涯を賭けてもお前は報われないだろう、それでも旅を続ける理由はなんだ?」

 旅の理由始めに思いついたのは武を極めること、そもそも自分がそんな存在だとは微塵も思っていなかったからこそ、一番強いであろう魔王を討つことで武を極めた証になると、そうエトワは思っていたが、今の心境は少し違っていた。

「魔王を討ってあの日みた星空の下で見た剣を超えた、そう宣言したところでっていう状況なのが昨日分かった、だから今は魔王を討って人類と魔族を統合したい、かな?」

「そいつは……、大した野望だな、それ以前にこの関係が変わるとは思えないがな」

 実際の所はどうなのだろうか?この願望は今この世に居る知性生命に対する強制になってしまうのだろうか?だがけれど人類と魔族の共存それは善いことだとエトワは確かに確信した、ならば止まる理由なんてものは要らない。

(裏切ったのは人類って言葉も気になる)

「まぁ全ては魔王を討ったらの話しだ、でもアンタも案外そう思っているんじゃないか?じゃなければ他の人類みたいに逃げているだろ?」

「……………確かにな…確かに魔族の飢えも抑えたいという願望は…俺自身が共存に満足していたのもあるかもしれないな……まぁ達者でな…お前が報われる事を信じているよ」

「…?…まぁ、俺はどうでもいいんだけれどね…それじゃあ、また」

 どういう訳か人類は一夜にして大移動をし、国家は存続の危機に立たされている、誰かさんの所為で、その張本人が今こうしてその国を経とうとしている訳だが、見送りも無いのは当然だと思っていたが、捕まえに来る存在すらも居ないのは意外としか思えなかった。




 気づけば1週間程度が立ち、馬車の荷車に乗った見知った顔ではがあるが、見覚えのある姿ではない彼女が空を眺めながら待っていた。

「シエル―、久しぶりーなんか雰囲気変わった?」

「あら?エトワじゃない?その様子じゃやっぱりアナタへの魔法も途切れていたのね、少しだけ申し訳ないことをしたわ」

「何を言っているんだ?」

 シエルの語っている言葉の意味が理解できない、故に頭上には?の文字が浮かぶ。

 だがその頭上というのが大事だったらしい、彼女は自分の頭に生えた角と紫色のメッシュを指差し、そしてこちらの途中で色が茶色に変わっている頭髪に指さした。

「異端とか禁忌って言われなかったかしら?その証明が私とアナタに共通しているコレよ」

「言われたけど?……何髪色が違うだけでそんな扱いになるの?」

「はぁー…、授業をしましょう、いつぞやの様にこれからはまた二人旅なのだから」

 なぜ自分たちが禁忌の存在であるか、そして何故自分たちは知性生命とは違う存在なのかそういう説明を受けて、そしてお互いに魔法都市であった事しでかした事、そして人類最大国家エスクラベルテでエトワがしでかした事、全てを互いに打ち明けた。

 半月は会っていないというのに、気が合うように感じるのは恐らく二人ともが禁忌の存在であるハーフであったからこそなのだろう。

 しかしながらハーフがここまで禁忌と呼ばれる存在なのだとすれば、始まりの街トータスでエトワが迫害どころか親密にすら想われていたことに説明がつかない、そうも考えたが魔族と人類が共通に考える絶対に行ってはいけない異種族同士の性交による交配を、あの街だけが平和ボケで忘れていたとは考えられない。

 それならば恐らく、あの街でエトワは孤児という事もあってか愛されていたのだろう、どれ程人の感受性から遠ざかる姿をその眼で捉え続けられようとも、街の住人からすれば魔族に襲われて一人だけ生き残った人の形をした子供だったのだ。

 髪色が禁忌である事を証明している、けれど言ってしまえばシエルの様に生まれた時から偽装されていなくても人に近しい姿をした子供を、誰が殺すかを決めきれなかっただけの可能性もある。

「まぁじゃあ俺が今普通に生きているのは、運が良かったんだな」

「そうね、回りに恵まれたと言う外ないでしょうね、全く羨ましいったらありゃしないわ…」

 そんな愚痴を端々で呟きながらも約3月の期間を歩き、歩く度にもう隠せなくなった自身たちの存在を忌嫌われながらもその街を順風満帆に楽しみながら目標であるエルフの里をエトワたちは目指していた。

 旅の先々でかつての人類が、そしてかつて魔族の歴史があったのだと知らしめる、血の歴史もあれば、希望の歴史、絶望の歴史がそこには待っている。


 人類の聖女が自ら旗を持ち魔族との戦線に立ちはだかり、か弱き乙女が最前線で味方を鼓舞することで魔族との領地争いがこの千年で落ち着いたとも言われている、聖女の街アンレオル。


 かつて1000年前に勇者が魔物の王を倒した時に褒賞として与えられたという、白鳥のように美しい白の外壁と水鏡によってまるで城が二つあるかの様に写し、今も伝説の勇者の帰りを待っていると言わんばかりのシャルボーン城。


 自然をこよなく愛する魔族が繰り返される戦争から自然を守る為に作らせたという、人類であれ、魔族であれ侵入する事も、そのまま出ることも拒まないがその自然を傷つけるモノは塵一つ、痕跡すらこの世に残せず消し去れるという。絶景と自然という王だけが君臨することが許される、世界の不思議にも数えられる、リンザ・アームン自然王国。


 そして殆どの建物が赤いレンガで造形され、今の知性生命の青色を司っていると言ってもいい青色という金を生み出している、色の生産都市ビアル。

 ビアルが何故赤レンガの建築が多いのかという元となっている川で水着を着て、二人一緒にはしゃいでみたのも思い出としては残っている。


 今となって考えてみれば、なぜ真冬に川遊びをしようと思ったのかは全くの謎だが、徐々に近づく最強種の里であり、魔王の居城一歩手前と呼ばれるエルフの里に入るまでに、色々な知性生命らしいことをやっておきたいという我儘もあったのかもしれない。

 残念な事に自然王国を除くすべての街や村、そして国という国から門前払いならぬ即時極刑を言い渡され、その度に脱獄しその度に知性生命から嫌われた二人にとっては、いつしか知性生命らしく振る舞えないのならば、誰も見ていない所で知性生命らしく振る舞ってみよう、その想いでここまで旅をしてきたといってもいいのかしれない。


ここまで読んでいただきありがとうございました

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