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地球でたった一人きり

作者: エドゴン

【1.序章】


岸谷「俺は岸谷。毎日の生活にうんざりしている。会社と自宅の往復をする毎日で、残業は当たり前のブラック企業で働いている。仕事もつまらなくていつも辞めたいと思っている。プライベートも何もすることもなく退屈な休日を過ごしていた。」


いつものように残業をして終電で帰った岸谷は自宅でベッドに倒れ込みました。帰宅時間は深夜の24時でした。


???「ケッケッケ。」


岸谷「誰だ!」


???「ケッケッケ。今日も疲れている様子だな。」


次の瞬間、声の主は正体を表しました。岸谷の目の前になんと悪魔が現れたのです。


岸谷「うわぁ。」


岸谷は驚きました。


悪魔「そんなに驚くことはないだろう。ケッケッケ。最近はどうだ?生活が嫌になっているだろ?残業続きで仕事漬けの日々。せっかくの休日も何もすることもなくダラダラしている。何のために生きているんだ?お前は。ケッケッケ。」


岸谷は悪魔に図星を突かれて困惑しました。


岸谷「お前のいう通りだ。何もかも嫌になっているのは確かだな。こんな生活から抜け出したい。」


【2.悪魔の提案】


悪魔「ケッケッケ。そう言うと思ったぜ。何もかも嫌になったか。そんなお前に提案があるんだが、聞いてみるか?」


悪魔は岸谷の負の心に付け込みました。


岸谷「提案。一体なんだ?聞かせてくれ。」


悪魔「地球上のお前以外の人間を全て消し去ることができる権利をお前に与えよう。決定する期限は明日までだ。」


岸谷「なるほど。明日までに決めればいいんだな。少し考えさせてくれ。」


悪魔「わかった。良い返事を期待しているぞ。」


翌日、いつも通り岸谷は会社に出社しました。


課長「おい岸谷。この資料を今日中にまとめておいてくれ。」


明らかに量が多く、残業をして終電での帰宅になりそうです。


岸谷「また残業かよ。いつまでこんなことを続ける気だ。」


先輩「よお岸谷、その分じゃまた残業になりそうだな。雑用ばかりしていてもスキルなんて身に付かないぜ。会社のお荷物にならないように気を付けろよ。」


先輩には嫌味を言われました。


岸谷「消えてもいいんだな!」


先輩「何か言ったか?」


岸谷「いえっ。なんでもありません。」


岸谷は心に決めました。こんな奴らは消えた方がいいと。岸谷は最後になるであろう残業をこなしました。終わった頃には気分爽快になっていました。これから会社に通わなくて済むからです。


【3.悪魔との契約】


悪魔「ケッケッケ。決めたか?」


岸谷「決めた。」


悪魔「どうするんだ?消すのか?」


岸谷「消す。全てが嫌になった。」


悪魔「いい返事だ。地球上のお前以外の全ての人間を消してもいいんだな?」


岸谷「OK。」


悪魔「ケッケッケ。わかった。では望みを叶えてやろう。かぁっ!」


悪魔は地球上の人間を消し去りました。


岸谷「何か変化があったのか?」


悪魔「これでお前の望み通りの世界になっただろう。じゃあな。」


悪魔は最後の言葉を残し、姿を消しました。


【4.自由な生活】


岸谷は試しに外に出てみました。


岸谷「おおお!誰もいない、誰もいないぞ。はっはっはー、大勝利。俺は晴れて自由の身だぜ。これであの会社ともおさらば出来る。今日は勝利の晩酌だ。」


岸谷は晩酌のため近所のスーパーに行ってみました。


岸谷「はっはっはー。誰もいない。客も店員もいない。食べ放題だぜ。」


岸谷は今晩の晩酌のため、お酒とお弁当、サラダなどを持って帰りました。いわゆる泥棒をしても誰にも見つかりません。


岸谷「それにしても誰もいない生活がこんなにも便利だとは思わなかったな。お金も必要がなくなるわけか。」


そして晩酌をしました。


岸谷「ぷはぁ。ただ酒がこんなにも美味いとは。天国だぜ。あの悪魔は一体何者だったんだろうか?」


翌日。


岸谷「今日は最新家電の物色だ。」


岸谷は家電量販店にやってきました。


岸谷「すごい!誰もいない。全部俺のものだ。」


岸谷はお掃除ロボットを持って帰りました。


岸谷「ふわっはっはっは。お掃除ロボット最高!」


【5.不便な生活】


岸谷はテレビを付けてみました。


岸谷「あれ?何も映らないぞ。そうか、誰もいないから番組を作れないんだ。」


そして翌日は雷雨でした。


ピカピカ、ゴロゴロ。ズドーン。


近くに雷が落ちたようです。


岸谷「あれ?電気が消えたぞ。そのうち復旧するだろう・・・」


岸谷の期待虚しく、電気は1日経っても消えたままでした。


岸谷「直らないな。電気が使えないと不便すぎる。インターネットもできないぞ。」


インターネットが使えないことに驚愕した岸谷でした。


岸谷「とりあえず電気のことは忘れてお腹が空いたな。いつものスーパーでお弁当でももらってくるか。」


岸谷はスーパーに到着しました。しかし残酷な真実が待っていました。


岸谷「どれもこれも消費期限切れじゃないか。チッ、カップラーメンでも食べるか。いや、お湯を沸かすこともできないか。」


岸谷は自分の置かれた境遇に愕然としました。


岸谷「人類はみんな助け合って生きていたんだ。食べ物を作ってくれる人、電気、ガスなどを整備してくれる人、インターネットを管理してくれる人、みんながいなければ便利な生活をしていけないんだ。」


岸谷は自分が間違っていたことにようやく気づけたのです。岸谷にはつまらない長い人生が待っています。

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