少女は出会う
春の月
王立エンセンス学園高等部1年5組
そこに1人の少女が転入してきた
その少女はアイラ・ノルエル
髪の毛はごく普通の茶髪に瞳は茶色
本当にごく普通の女の子
だけど、何故か転入生から目を離せない
(見た目は普通なのに、何故こんなにも目が離せないの…)
教室の窓際で転入生の紹介を聞く少女は不思議だった
「えー、ではこの度転入試験を受けて晴れてこのクラスになったアイラ・ノルエルくんだ。ほら、君も自己紹介してね」
「…」
しかし少女は黙ったままだ
「…ノルエルくん、どうかしましたか?」
「す、すみません。この度転入試験を受けて晴れてこのクラスになったアイラ・ノルエルです。よ、よろしくお願いします」
「ノルエルくん、それでは私と全く同じことを言っただけだよ」
慌てる転入生を見て、クラスは笑顔になる
「す、すみません…」
少女は顔を真っ青にして下を向いた
顔色がとても悪そうだった
「まあ、いい。君の席は…
あの窓際ザイルスくんの隣の席だ」
「はい…」
転入生は私の横の席に着いた
窓際の少女は転入生から声を掛けてくるだろうと思っていたが
そんなことはなく、そのまま先生の話が始まった
(変わった方ですね)
その日、転入生は休み時間には
どこかに行ってしまい
昼休憩も姿が見えずにクラスの誰も
最初の紹介以降転入生の声を聞かずに
放課後が来てしまった
昼休憩まではクラス中がその子ことが
気になって仕方なかったが、
話にいくタイミングも掴めず
1日が終わってしまったため
皆、転入生の興味が無くなっていた
窓際の少女ララコット・ザイルスもその1人であった。
放課後になり、荷物をまとめいつも通り図書館の利用可能時間まで勉強しようと思い教室を出る。
図書館への渡り廊下を歩いている途中、転入生を見つけた。
図書館は教室とは別棟にあり図書館に続く渡り廊下から中庭に出ることも可能であった。
その中庭で転入生があたりをキョロキョロしながら何かを探しているようだった。
興味は無くなっていた、なのになぜか彼女を見つけて声を掛けたくなる。
そして無意識に目的地から遠ざかり中庭へと足を進めた
「あのー…」
転入生の肩が上下に動く
そしてこちらを振り向き
「な、なんでしょうか…?」
「あぁ、いえ特に用事はないのですけれど、何か困っているようでしたので声を掛けさせて頂きました。」
「…」
転入生からの返事はない
「大丈夫ですか?」
「はっ!それは失礼しました。お見苦しい所を見せてしまって」
転入生は頭を下げる
「別にそこまでされなくて大丈夫です!
本当に用事は無かったので、それでは私は失礼しますね」
ララコット・ザイルスは軽く会釈しその場を去ろうとする
「あ、あの!」
転入生が私を呼んだ
「はい…?」
「えっと、ララコット・ザイルスさんですよね?」
「はい」
急に名前を呼ばれ少し驚く
「私アイラ・ノルエルです。すみません、ご挨拶が遅くなって…
最初に挨拶しなさいって知り合いに言われていたのですが、それよりも違うことに気が散ってしまっていてそれどころではなくなって…」
少女は手をモジモジさせながら、顔を真っ赤にして言葉にする
その少女を見て、心の中にあったモヤモヤが段々晴れていく気分になる
(なんでだろう、分からないけどとっても気分が軽くなる)
「気にしておりません。私こそ挨拶が遅くなり申し訳ありませんでした。
改めてララコット・ザイルスです。ララと呼んでください。あなたともっとお話したいです」
ララは満面の笑みでアイラに挨拶をする。