少女は落ちる
「それで、お話というのは…」
少女は美丈夫が持ってきた具だくさんのサンドイッチを頬張る
「そうそう。話というのはね、陛下から直々にあなた宛に任務が来たわ」
「その任務とは?」
「王太子殿下の護衛よ」
「ゴホッゴホッ」
少女は驚きのあまりサンドイッチを喉に詰めた
「大丈夫〜?もーおっちょこちょいねぇ」
美丈夫がコップの水を少女に差し出す
その水を一気飲みして少女は少し落ち着く
「も、もう一度いいですか?」
「だーかーらー、陛下からあなたに王太子殿下の護衛の任務をしろって事よ」
もう一度聞き、とうとう少女は椅子ごと後ろに転げ落ちた
「あらま、想像以上ね」
呆れながら美丈夫は風魔法で少女を起こし、先程と同じ位置に座らせる
「む、む、無理です!」
「却下!陛下直々よ。この任務断ろうことならあなたは謀反とみなされてこの国から追い出されるわよ」
「そ、それも無理です!!」
「諦めなさい。これでも陛下に人選変更を直談判してあげたのよ」
少女は少し感動する
「それで?」
「それでも、あなたしかいないって陛下が仰ったわ」
「で、でも私はみなさんのように他の方からの信頼がある訳ではありませんし、そのような重大な任務をこんな小娘より他の方のほうが…」
「そんな事わかってるわよ。それでも陛下はあなたに任務を与えられたわ。次いでにあなたが人付き合いが下手なこともよ〜く知っているわ」
「それなのに…」
少女は半べそだ
「それでもあなたにこの任務を与えられたわ」
「そんな…」
「まあ、陛下なりのお考えがあってのことね。隣国も気生臭くなってきているわ。その辺も踏まえてあなただったら臨機応変に対応できるし、あなたを任命されたんだと思うわよ」
「それこそ、同い年のロイくんの方が適任だといます…」
「はぁ…」
美丈夫はため息を吐くと立ち上がり
少女の横に立って背中をバァンと叩く
「根性見せなさい!そして、私たち五星の仲間である精霊術師のアイラ・フィンセントは素晴らしい実力持ってるってことをこの任務で証明してきなさい」
少女は美丈夫に叩かれた背中の痛みに我慢しながら
今まで世話になった美丈夫の言葉を考える
(これ以上イリスさん達に迷惑を掛けてばかりじゃだめだよね…)
少女は下を向きながら両手を握り締め
「…すっごい嫌ですけど、イリスさんがそこまで仰っるなら…頑張ってみます」
「よろしい!でも、無理はしない事。
ちゃんと大事があったら私達に頼ること!いい?」
「はい」
少女は覚悟を決める