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ある精霊姫のお話  作者: 雑魚寝
21/26

彼は意外だと思う


長くなってしまいました



「…これは無理矢理こじ開けた様ね。この辺りの防御魔法が全部破られてしまっているわ」

アイラは防御魔法があった場所に視線をやる

イリスは淡々と話しているが、膨大な敷地の学園を覆える様に普段のイリスの防御魔法より弱くはなっているとはいえ五星の防御魔法が破られる事は異常だった


「破った者はどこへ?」

エルバインはやっと2人の話に入ってこれたみたいだ

アイラのことよりこちらの方が緊急だと理解してくれたらしい

疑いの目は薄れていた

「それなら大丈夫ですよ、ここに破った魔力路が残っているのでそれを追えば直ぐに捕えられます」

確かにイリスが言った通り魔力路が残っている

これを辿れば犯人が分かり目的も判明する


アイラは少し安心しようと息を吐こうする

しかし知っている何かに呼吸が止まった

(これ…)



イリスが魔力路を辿るために魔法を使った

「教えなさい(現生せし万物よ、軌に集う汝が跡を我に示せ)」

イリスが魔法を唱えると一筋の光が現れた

「…流石ですね」

その光を追うエルバインは1人呟く



魔法を発動させるには3つの手段がある

①魔法陣を使用することで安定した魔法を発動する事ができる。しかし個人の魔力適正で効果は変わり、移動させることができない

②決められた魔法の呪文を唱える事で魔法が発動する。効果は持続しないが即座に発動でき、適正がある者は馴染みのある方法

③魔術の詠唱をすることで、詠唱時間が必要になるが初心者でも発動できる方法。それでも中級以上になると詠唱が長くなり実践向きではなく、上級以上は膨大な知識と魔力が必要になり殆どの者が使用しようと思わない


しかし中級以上の詠唱でも魔法を知る者はその詠唱を理解し組み替え、自分に適した詠唱で組み替える前と同じ魔法を発動することができた

適したモノに替えることが出来れば魔法の発動は格段に速くなり魔力消費も減ってくるため魔法使いとしては非常に便利なモノであるが、それは限られた者にしかできない(わざ)である

それでもイリスとっては造作もない

魔法を知るエルバインは改めて見る五星の魔法に舌を巻く




「…このまま進めばあの森に衝突するね」

「そうですね、しかし何者かは分かりませんがあの森を越えることは不可能でしょう。奴等はあの森を迂回して国境に向かうはずです」

淡々と告げるイリスだったが、エルバイン達は驚く

「国境!?越えられれば見つけられないぞ」

エルバインには珍しく口調が荒い

「推測の話ですが、わざわざ防御魔法を破壊してまで行く場所は限られるかと…。迂回しているならまだ時間はあります」


2人が今後の動きを確認している時

「ララ…」

可細く今にも消えてしまいそうな声が聞こえ、イリスは急いで振り向く

その声はアイラから発せられており、酷く怯えた声で呼ぶ誰かに皆の視線がアイラに集まった

「…ララ?それは誰のことかな?」

はじめに応えたのはエルバインだったが、アイラからは返ってこない


(なぜ?なぜ、ここにララの…)

アイラは誰も信じれない、信じてはいけないそんな感情を思い出し早鐘を打つ

複数の見た事のない魔力と()()()()()()()()()()

段々と鼓動が早くなり吐気を催したアイラは口元を抑えて膝から崩れ落ちてしまう


イリスはアイラの側に駆け寄るとそのままイリスが背中をさすりながらゆっくりと尋ねる

「アイラ、ララという子はこの魔力路の中にあるの?」

アイラは言葉にできないがしかしゆっくりと頷く

「それはこの学園の生徒?」

未だうまく呼吸ができないアイラは息苦しさを感じながらもイリスの言葉に頷いた

アイラの返事にエルバインは驚きと同時に警戒する


この防御魔法は生徒を守るためにイリスが施したのであって、疾しい気持ちを持つ者は破る必要のないものだ

そしてララの魔力路が残っていたということは魔法を使いこの魔法を破った

犯人意外あり得ないという事だ


導き出したくない現実にアイラの呼吸が荒れる

「アイラ…」

イリスの呼ぶ声がするが喉が震え上手く言葉を発せない

(…怖い)

過去の思い出がフラッシュバックして頭がひどく重くなった

視界もぼやけ暗くなっていき無意識に身体を守るように縮こまる



(意外だな)

アイラを見てエルバインがそう思った

アイラは生徒会に入ることや虐め、罵りなどを受けたとしてもここまで動揺することはなかった

たった1ヶ月程しか一緒に過ごしていないため本当の為人は知らないが、こんな姿のアイラを見たのは初めてだったためエルバインは少し驚く


しかしエルバインはそんなアイラを放っておく事はできない

短い期間だとしてもエルバインはアイラが生徒会に入ることを許した人物だったからだ

エルバインはアイラに向き合うため視線を合わせようとした



「アイラの知るララって子はそんな事をする子なの?」



しかしエルバインが届く前にイリスがアイラの両肩を強く揺らしていた

急に揺らされ驚くアイラの瞳にイリスが映る

先ほど睨まれた時とは違ってイリスの灰色の瞳は美しく輝いていた


『違うでしょ』

イリスに訴えかけられる

その瞬間アイラは呼吸の仕方を思い出した


ララは生徒総会の時にアイラの心配をして時間ギリギリまで探してくれていた

アイラが虐められてもララは側に居て、一緒に立ち向かってくれた

まるで昔の…


アイラの中で何かが決まると呼吸が普通に出来ていたことに気づく

そして心臓が落ち着きを取り戻していた


(…私は)



心に決めた思いを抱え、イリスの顔を真っ直ぐ見直した

「違います、ララはそんな事をする子ではありません」

震えた声はもう出てこない

アイラは普段通りの落ち着きを取り戻しイリスに真剣に向き合える

そんなアイラを見てイリスは美しい形の唇を弧に描きよし!とアイラの背中を強く叩く


「アイラ、あなたは寮に戻りなさい。ここからは私達と五星の仕事よ」

イリスは普段通りの声色に戻り立ち上がると、アイラに向けて伝える

その姿が美しいとアイラは思った

「イリス殿、あなたが行くというのなら私も同行します」

そんなイリスの横にはいつの間にかエルバインが居る

「貴方はこの国にとって唯一無二の存在です、相手が分からない上に危険な場所へは連れてはいけません」

「分かっている。しかし聞けば誘拐されたと思しき人物はこの国の大切な民であり学生だ、私の不甲斐ないせいでもある。

足手纏いにはならない。五星とまではいかないが私もそれなりの実力はある、自分の身は自分で守れる」

そう真剣にイリスを説得する

強い眼差しと堂々とした佇まいであり、アイラの瞳に映る輝きが増した


実際エルバインは魔法も問題なく連れて行ったとしても足手纏いにはならない

王太子という立場以外完璧な条件が揃っているが、それが一番の問題でありイリスはどうやって諦めてもらうか考えるが

「イリス殿もご存知だろう。私は一度発言した事は絶対に覆さない」

イリスが頭を悩ませている時にさらに追い討ちをかけてきた

エルバインの美しい顔が軽く笑い、その顔は勝ち誇った顔をしている

そんなエルバインを見てイリスは腰に手を当ててため息を吐いていた

「分かりました、しかし私の言う事は絶対です

逃げろと言われれば逃げてくださいね」

イリスは参ったと表す様に告げてからアイラに向き直った


「という事で私は殿下の護衛を承ってしまったので、アイラは寮に戻りなさい

ここからは五星の仕事です」

とイリスが言う


イリスがエルバインの護衛をするという事はアイラの本来の仕事は無い



そしてここからは五星の仕事…



じゅっ、10文字ぃぃ…

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