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ある精霊姫のお話  作者: 雑魚寝
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少女は走る


転移魔法か身体強化を使おうかと考えたが、学内であるため誰かに見られていてはまずい

アイラは走って向かった

図書館を過ぎ周りに広がる森を少し過ぎたところ、そこはリーシャと待ち合わせた噴水がある場所だった


魔法が破られてすぐに向かったが、既にイリスが到着している

自分の魔法が破られたのを感じ即座に転移魔法を使ったのだろう

魔法を使えないと言っているアイラは走ってきたためイリスの少し後に到着した

大きく息を吸い、走ってきた息を落ち着かせるように声をかける


「イリスさ…」

「流石ルーベン殿の知り合いと言った所か?

魔法が使えないと言っている割には早い到着だねアイラ嬢」

アイラがイリスの名を呼ぼうとしたが、聞き覚えのある声に驚き後ろを見る

そこにはエルバインが笑顔でアイラの後ろに立っていた


「か、会長!?なぜここに」

「ちょうど生徒会が終わった後にイリス殿が尋ねてこられてね。護衛を話をしている時にイリス殿が学園に施していた魔法が破られたと聞いて、学園の事となれば僕も知らんふりは出来ないからイリス殿に無理を言ってついて来たんだ」

そう笑顔で答えるエルバインと参ったと首を振るイリスがいる

よく見れば後ろに複数の護衛騎士もいた

元々学内に数名の騎士は存在していたが、学びの邪魔になってはいけないと決まった場所にしかいない

それに学園に危険が持ち込まれた事がないためあまり必要としなかった


恐らくこの間のことでイリスが動いたのだろう

行動が早くて助かるとアイラは思う


(騎士の人たちもいたんだ、危なかった…)

急いでいたが魔法を使わなかったことにアイラはそっと胸を撫で下ろす


「そういえば体調は大丈夫かな?先ほど倒れたばかりだろう」

エルバインの口は笑っているが目が笑っていない

たしかに普通の人間ならまだ身体への疲労は隠せていないだろう

しかし魔力量の多いアイラは少し休めば十分だった

(そういえば、昔もよく倒れるまで研究とかしてたな…)

なんて呑気な事を考えてアイラは首を左右に振る


(元気になったからってそんな事考えてる場合じゃない…)

アイラは恐る恐るエルバインへ視線を上げる

エルバインの顔から私への疑いの目は消えない

身体の状態は心配(多分)しているだろうが、それよりもここまで早く他人の魔法を見つけられる者はそう多くはない

アイラの素早い行動がエルバインは気になっていたのだ

エルバインの目が光る


「だ、大丈夫です…先ほどはありがとうございました」

アイラは怯えながら助けられた時の礼をした

しかしエルバインの顔から疑いの目は消えない

「アイ…」

「やっほー、久しぶりねアイラ」

そんな2人の会話に割って入るのはイリスだ

王族の話を割って入るのは不敬であるが、五星ならそれが許される

イリスの割り込みでアイラは肩の力が少し抜けたようだった


「お久しぶりです、イリスさん」

数日ぶりのイリスだったが嘘は言っていない

人は2、3日会っていなくても久しぶりと言うのだ

「ええ、久しぶりねアイラ。オズとロイくんと会った時以来かしら」

イリスも嘘は言っていない

2人が知り合いという事は通信機の話の時に思わず(興奮して)言ってしまった

隠すつもりだったが、バレてしまったものはしょうがない

「はい、そうだと思います。またお会いできて嬉しいです」

アイラは軽く頭を下げて返事をする


イリスが話に入ってくれたことでエルバインにこれ以上詮索されることはないだろう

アイラが大きく息を吐こうとしたが


「…ところで、倒れたとはどういうこと?」

アイラはまた息を吐くタイミングを逃した

見上げればイリスは仁王立ちで笑いながらも顔色がドス黒くなっている

体格のいいイリスに迫られればアイラは一溜りもない

「な、なんのことでっ…」

アイラはイリスから視線を逸らそうとしたが、数センチの距離まで詰められ視界いっぱいにイリスの顔が映った

「あんた…また」

疑い深い目でアイラを見る

「……そ、そんなことよりどうされたんですか?」

アイラは今できる精一杯の笑顔で逃げる様に話を変えた

その顔は変な顔に決まってる



「…まあいいわ」

無理やり変えた話だったがアイラがこれ以上口を滑らさないようにアイラの気持ちを汲み取ってくれたみたいだ

アイラはやっとため息を吐けると思った

「また今度聞くから」

「ひゃっ…」

イリスに睨まれる

アイラの2倍近くあるイリスに見下されたアイラは子うさぎだった


呑気なやつらでした

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