少女はチョロい?
オフェリアとの話が片付き普段と変わらない生活を送っていた
もうすぐ夏の月が訪れるがその前に数日間雨季が訪れる
その時期は暖かい季節であるにも関わらず肌寒くなり、薄着であった生徒も長袖のブレザーを羽織るようになる
「へっっっくち」
奇妙な音がララの横から聞こえてきた
「アイラ大丈夫?また上着無くなったの?」
移動教室からの帰り道、一緒に移動するアイラとララだったが
ララはブレザーを着ているのに対しアイラはシャツにカーディガンのみだった
「うーん、そうみたい」
鼻水をすすりながら返事をした
雨季が始まりアイラもブレザーは着用している
しかし教室内が暖められ上着を脱ぐと気づけばブレザーが行方不明になっていた
そして帰り際にはどこかの廊下に捨てられているのだ
一応登下校時にはブレザーを着られるためずっと薄着で過ごしている訳ではないが
移動教室などがあると暖かい教室から出ないといけないため、雨季の寒さがこたえてしまう
「やっぱり生徒会に相談した方がいいんじゃないかな?嫌がらせは相談しろって言われてるんだよね」
イーシス先輩に言われた言葉をそのまま話したため珍しくララから命令口調の言葉が出て少し笑ってしまう
ララが心配して何度も言ってくれるがアイラは一度もブレザーの件で生徒会に相談した事がなかった
今でも変わらず足を引っ掛けられたり等の軽い嫌がらせはあるが、生徒会就任当初程の嫌がらせは受けていない
連れ去られそうになることも無くなり、生徒会を呼び出す事も減っていた
せっかくのオズ爺からのブローチだったが、本来の任務の護衛対象に守られてばかりなのも尺だったのだ
アイラはブレザーの件についてあまり気にしていなかった
「大丈夫だよ」
ララは変わらず心配そうにしていたがアイラは笑顔で返事をする
今日は珍しくアイラの生徒会が休みだったため、ララと2人で図書館に来ていた
ラッキーな事に図書館に来る途中でブレザーが見つかり、アイラは暖かい格好で別館の図書館に来ることが出来た
「ブレザー見つかって良かったね」
ララはアイラに向かって笑いかける
図書館に行くには渡り廊下を渡らなくてはならない
渡り廊下は外へ繋がっているためブレザーが無ければ風邪を引くこと間違いなしだった
図書館に着きアイラはララと向かい合わせで座る
ララは今日魔法について学ぶみたいで、魔法書の棚から5,6冊本を持って来ようとしていた
魔法書は一冊がかなりの重さになるが、ララは軽々と持ち上げている
そんなララを見てアイラは力こぶを作ろうとしたが、何の変化も起きない二の腕を見て何事も無かったかのように机に向き直した
「ララは魔法について何を勉強するの?」
悲しい現実から離れるようにアイラは戻ってきたララに声を掛ける
「うん。前は青色だったから魔法の基礎しか勉強しなかったけど、適性があるって分かったから最初は私の得意魔法を見つけられたら良いなって思ってるんだけど」
そんな事を言いながらララは基礎魔法が載ってある魔法書を開く
そこには得意魔法の検査を行う手順と必要物品が載っていた
しかしこの魔法書はかなり古いらしく必要物品には今では手に入れるのが困難な物ばかりだ
「これは集めるのが大変そうね…」
少し悩んだ末ララは諦めようとしていた
全てを揃えるのがほぼ不可能であり、一つ一つがかなりの値段がつく代物だったからだ
しかし得意魔法を知ることが出来るのは検査だけではない
時間は掛かるが一つずつ魔法を試し、魔力量の減りや発動時間、身体への負荷などを測って行く方法もあった
それをするなら今は魔法書を読む必要はない
持ってきた魔法書を棚に返そうとした時
「大丈夫、数年前に改訂されて魔法陣でも検査出来るようになったよ」
そう言ってアイラは白紙の紙に魔法陣を書いていく
すぐに書き終わり魔法陣の書いた紙をララに渡すが、ララは少し驚いているようだった
「どうしたの?」
アイラはララの態度を不思議に思い訪ねるが
「いや、アイラは魔法適正が無いのに魔法について詳しいのね」
と言われてしまい肩が跳ね上がった
「あっ、う、うん!そうなんだ。知り合いが魔法に詳しくてよく教えて貰っていて…あはは」
歯切れが悪い上、普段なら笑って誤魔化す事などしないが
ララは納得したようだ
「い、1回やってみたらどうかな?」
アイラは早くこの話題から離れたい
「うん」
ララも早く得意魔法を知りたいという好奇心には勝てない
幸いこの図書館には雨季の関係で寒い廊下を渡ってまで勉強する人はいないみたいだった
ララは魔法陣に魔力を込めると魔法陣は光りだす
するとその光は緑に変わりララの身体を包み込むと光は消えた
「…えっとこれで終わりかな?」
一瞬の出来事でララは置いてけぼりだった
「うん、大丈夫。ララはやっぱり風が得意なんだね」
知っていたかのように話すアイラだったが、ララは気にしていられない
一瞬であったが魔法陣を発動させるのも立派な魔法だ
今まで適正なしだったため簡単な魔法でさえ使ったことのなかったララは感動していた
そして両手に力を入れて決意する
「アイラ、私に魔法の事教えてくれない?」
そんな事を突然言い出す
「わ、私適正ないよ!?」
突然の事で驚き、大きな声を出してしまう
図書館に他の生徒が居れば怒られる所だったが幸いアイラとララ以外は誰もいない
「分かってる。でも今の私よりはアイラの方が魔法の事詳しいと思うの。分かる範囲でいいから私に教えてくれないかな?」
ララは前のめりになり顔の距離が拳ひとつ分くらいまで近くなった
ララの顔が急に近くなりアイラは顔を真っ赤にする
アイラにとってララは美しすぎたのだ
何も考えられなくなる
「う、ん…」
そして簡単に了承してしまった
読んで頂きありがとうございます(^^)
ブクマ、評価嬉しい限りです( ; ; )
今回でとうとう予約投稿が無くなりました(^^;
早く出せるよう努力します