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ある精霊姫のお話  作者: 雑魚寝
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瞳に映る者


生徒が寝静まった時刻、アイラは1人学園の屋上に居た

月は雲に隠され辺りは暗かったが、段々と夜風が生暖かくなるのを肌で感じながら

夏の月が近づいていると1人考えていた




「お待たせしました」

アイラの背後から聞き覚えのある声が聞こえる

「お話とは何でしょうか」

アイラは前を見たまま声を掛ける

「どのような罪も謹んでお受けします。しかしその前に私の話を聞いて頂きたいと思いお呼びしました」

声の主は震えていたがそれでもアイラに話したい事があるらしい

アイラはため息をはき背後に視線を向けると、片膝を地面に突き顔を下に向けている女性がいた

アイラに声を掛けたのは魔法授業の担当であるオフェリア・ルックスだった


「そのままでは話しづらいです」

とアイラが言うと

「ありがとうございます」

ゆっくりと顔を上げ、申し訳なさそうな表情をしている


「話の前にひとつ質問があります。何故私の正体がバレているのでしょうか」

アイラはオフェリアを真っ直ぐ見て質問する

「はい。

フィンセント様がご存知の通り、私は呪術師ロイ・ナイデンス様の弟子をさせて頂いております。

その関係で学園長と特別に私にも貴方様のお話を聞かせて頂きました。挨拶をさせて頂こうと探しておりましたが見つからず、今日の授業で貴方様のイヤリングからロイ様の魔力を感じとり勝手ながらこうしてお呼びさせて頂きました」

まだ声が震えていたが、オフェリアは正直に応える

五星と比べて魔法塔の魔術師であったとしてもその能力差は天と地程の差がある

五星がかけた変化魔法が見破られた訳でなくアイラは少し安心する


ロイ・ナイデンスは王国筆頭魔術師 五星の1人である

アイラがこの学園の呪術の解呪方法を頼んだのも彼だ

五星は宴等は滅多に参加しなかったが、五星同士はこまめに連絡を取りよく会ったりしていた

ロイに弟子が居ることはアイラも知っており、魔法塔で数回程すれ違ったことはある

関わった事はなかったが、魔道具に掛けられた魔力を感じとれる者などこの世界では数えられるぐらいしかいないだろう

五星の弟子に選ばれるだけの素質を持っていると理解することができた



「理解しました。私も挨拶もせず申し訳ありませんでした」

オフェリアの話を聞き、アイラ自身にも非があると思い謝る

「いえ、滅相もございません。ですが学園長には一言挨拶しておくべきだったかと…」

とオフェリアに言われてアイラは大事な事に気づく

アイラは転入当初から呪術を見つけたり、生徒会に入ったりして学園長に挨拶を忘れていたのだ


(イリスさんに挨拶は大事って教えられたのに…)

そんな事を思い出しアイラは焦る


「しかし学園長は気にしておられませんでしたので安心してください」

焦るアイラを見てオフェリアは軽く笑い少し緊張が解けたようだった


「すみませんでした…また落ち着いた際に学園長には挨拶に行きます。話が脱線してしまいましたが、あなたの話を聞かせてください」

落ち着きを取り戻しアイラとオフェリアは本題に入る

「はい、ありがとうございます。

私がこの学園に赴任したのは3年前でしたが、1年前からこの学園が呪われてしまい…」

リーシャに聞いた話と同じであり、アイラは頷いた

「ロイ様の弟子をさせて頂いてるにも関わらずはじめのうちは気づく事が出来ませんでした。この呪術は極めて高度な構造であったため呪術が完成した時には取り返しがつかなくなってしまい…申し訳ありません」

オフェリアの和らいでいた表情はだんだんと険しくなり顔を暗くしたまま表情が固まってしまった

「私の力では何もする事が出来ませんでした。しかし、この呪術に対し何かしらの情報を知っている者は分かっております」

オフェリアは呪いに犯されていく学園をただ見守っていただけではなかった

呪術に関与するかもしれない数名の名前を挙げる

それを聞きアイラは驚くが納得してしまう自分がいた


「理解しました、情報提供感謝します。

生徒目線では気づけないこともあります、また何か分かり次第教えて貰ってもいいですか」

その言葉にオフェリアは驚き顔を上げる

「私はこのまま教師を続けてよろしいのですか」

アイラの言葉は罪に問わないと理解できる

「私がこの学園の呪術を見た時誰かが魔法陣をいじった痕跡がありました。貴方だったのでしょう」

言葉の通りオフェリアはアイラが来る前に学園長に相談し何度か魔法陣を壊せないか試した事がある

「呪術は下手に手を出せばその人に呪いが移ってしまいます。その事をロイくんの弟子なら知らないはずがありません」

専門分野でないのに関わらず、呪術の知識を身につけ痕跡を見破ることが出来るなど聞いたことがない

改めて五星の力を再確認する


「貴方はこの学園の為に何かしようとしました。当たり前の事なのかもしれませんが私は賞賛に値すると思います」

そして五星から与えられる賞賛はこの国の魔術士にとって栄誉な言葉でしかない

「ロイくんには私から事情を話しておきます。貴方はこのまま教師を続け情報を集めて下さい」


そんな栄誉な事を告げるアイラから目を離せない


すると雲から月が顔を出しアイラの姿が明らかになった


魔法塔で数回すれ違ったことはあったが、ローブを深く被っていたため本来の姿を知る事は無い



月光に照らされ、銀色の髪と黄金の瞳が輝いていた



どこかの噂では精霊術師の姿は神が舞い降りた様な姿であると聞いたことがあったが、その噂は真実であった



彼女の姿は神々しく、オフェリアの瞳には女神が映っている




読んでいただきありがとうございます(^^)


タイトル変えたいのにネーミングセンスが壊滅的で困ってます(^^;

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