少女は笑う
アイラとオズ爺は誰もいない教室に転移した
「オズ爺ありがとう、じゃあさっそく…」
そう言ってアイラがブローチに魔力を通そうとする
「アイラ、その前に渡したいものがある」
そう言ってオズ爺がイヤリングを渡してきた
そのイヤリングはブローチと同じ星型であったが色はゴールド、サイズも小振りで髪に隠れるような大きさであるためあまり目立たないイヤリングだった
「これって…」
そのイヤリングを見て目を見開く
「手紙は五星皆が読んだ
ロイも完璧な解呪の研究をしとるがそれまでアイラが毎日膨大な魔力を重ねがけしとるじゃろ、それに変化魔法を1日続くように魔法を使っとってはアイラの体が持たん
しかしわしらも公に力を貸せば気づかれてしまうじゃろうから
これはせめて変化魔法の魔力を少しでも補うためのものじゃ
わしの魔力を入れとるからアイラが魔力補充する必要もないし、外せば元の姿に戻る
しかし2つで対の魔道具じゃ
片方が壊れれば魔法も切れるかもしれん
しかし無いよりマシなはずじゃ、訪れん事を願うがアイラの魔法が必要になる時が来るかもしれん
本来の任務を疎かにしてはいけんからの」
そう言ってオズ爺は柔らかく笑う
そのイヤリングにはオズ爺の他に3人の五星達の魔力が宿っていた
「ありがとうオズ爺…それに皆さんも」
五星達の気持ちに胸が締め付けられる
アイラはイヤリングに向かって礼を伝えた
「話は終わりじゃ、ほな連絡してみぃ」
「うん」
アイラはブローチに魔力を込めた
『アイラ?アイラ?聞こえる?』
ブローチからリーシャの声が聞こえる
「大丈夫ちゃんと聞こえるよ」
そう言って話し相手には見えないが笑顔で返事をした
『お爺様が居るから大丈夫だと分かってたけど、全然返事がしないからビックリしたわよ』
リーシャの声しか聞こえていないが、リーシャがどんな顔になっているか伝わってきてくすぐったくなる
「オズ爺、これ魔力通したらその人以外使えないんだよね?」
「そうじゃよ、無いと思うが盗難、盗聴防止のために一応つけておいたよ」
『そんなものまでこのブローチには付いているのですか』
ブローチの向こうでイーシスが驚いている声が聞こえる
「本当に凄いね、ありがとうオズ爺」
改めてお礼を言うアイラに
「可愛い孫のためじゃ、いくらでも助けてやるわい」
そう言ってオズ爺はアイラに向かって笑顔で伝える
転移魔法でアイラを元の部屋に送った後、オズ爺はその後何も言わず帰って行った
「素晴らしい魔道具です、一生徒が持つには手に余る代物ですがこれは有効だと思います」
イーシスが目を輝かせながら話をする
「そうだね、それに私たち以外声を伝える事もこのブローチから相手の声を聞こえる事も出来ないからこれを使ってアイラ嬢の様子を見ていこう」
エルバインがそう言うとその日の生徒会はお開きになった
アイラは今日の出来事思い出しながら部屋に辿り着く
6畳程の部屋にはタンスとベッド、勉強机に椅子がある
その椅子にアイラは腰掛けると変化魔法を解いた
すると髪色が銀髪になり瞳が金色に輝き出した
アイラの本当の姿は人間離れした本当に美しい美少女だ
この姿で出れば誰も見下したり脅したりされないだろうが、目立ちすぎる上解決にならない
そして極秘の任務であるためバレないようイリスと相談しこの姿で潜入することを決めた
見た目を変えた事は問題ではない
しかし人間に見下し虐められる事に幼い頃の記憶を彷彿させる
克服したと思っていた
リーシャと話し合った時何度も確認された
しかし幼い頃の記憶というのは深く根付いていたのだ
アイラは少し考え込んでしまった
その姿を見て2つの光が寄り添う
『アイラ様、大丈夫ですか?』
『アイツらお嬢のこと知らずに好き勝手しやがって』
1人が女の子の姿をした小人、もう1人が男の子の姿をした小人がアイラを思って寄り添っている
「2人とも大丈夫だよ、おいで」
アイラがそう言うと2人の小人はフワフワと浮かびながらアイラの手の上に乗った
「今日もお疲れ様、いつも一緒に居てくれてありがとう」
アイラの手に魔力が集まり2人の小人はその魔力を吸収した
『お嬢、いつも疲れてるのにごめんなさい』
『アイラ様がいつも魔力をたくさん使ってるの知ってるのに私達まで魔力をいっぱいくれて、私達何も出来ないのに…ごめんなさい』
2人の小人はアイラから魔力を貰い申し訳無さそうにしている
「大丈夫だよ、私があげないとあなた達は低位精霊だから消えちゃうでしょ?
それに私の方こそごめんね、私がここに居るからあなた達は心配して精霊界に帰れないね」
そう言ってアイラは2人の小人に謝る
『謝らないでください、私達はアイラ様が好きでここに居るんです』
『そうだぜ、お嬢が居る所に俺たちがいるんだ』
アイラの謝罪に2人の小人は否定する
「ありがとう…」
部屋についてからやっと笑う事が出来た
アイラの傍には小さな2人の低位精霊がそばに居る
生まれた時からずっと
読んでいただきありがとうございます(^^)
次話は3/28 0時に更新させて頂きます