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ある精霊姫のお話  作者: 雑魚寝
10/26

少女は負けない

「探しに行ったまま戻ってこないから、何事かと思えば転入早々サボりは良くないよ?」

そう言いながらエルバインは笑う

「すみませんでした

助けて下さり、ありがとうございました」

礼をし、そのままアイラの顔は下に向いたままだった


アイラは昼休憩が始まりすぐに今日の生徒総会の流れを頭に入れとこうとリーシャと共に1番に講堂まで来ていた

そのついでに生徒の名前とどの生徒が問題のある生徒なのか頭にたたきこんでいた

しかしもうすぐ生徒総会が始まるのにララの姿が見えない上、1番の問題児のベイル・シャイロウの姿も見えなかったためアイラ1人でララを探しに行き連れ去られそうになっているララを発見する

アイラはベイルに生徒会の名前を出せば引き下がると思っていたが、信じて貰えない上一緒に連れ去られそうになっていた所をアイラを探しに来たエルバイン殿下に助けて貰ってしまった

情けなかった


「構わないよ、友達思いなのはいい事だ」

何も気にすることなくエルバインは講堂の舞台入口まで足を進める

申し訳ない気持ちを持ちながらもアイラも後ろからついて行った



「遅い!」

舞台袖でメガネイケメンことイーシスが叫ぶ

そんなイーシスにビビるアイラと

「まあまあ、あのシャイロウが居たんだ

大目に見てあげてやって」

笑いながらエルバインはイーシスを宥める


「まあ、貴方1人だとこうなると思っていました

想定内だったので今回は殿下に行ってもらいましたが、次はありませんよ?」

そう言ってアイラを睨みつけた

「は、ぃ…」

アイラの視線は更に下を向いてしまう



講堂の明かりが消され舞台上の明かりがつくと

広い舞台の真ん中にイーシスが立っている

「私イーシス・エディン、現副会長が今回の司会を務めます。

これより春の生徒総会を始めます。

今回は1年の予算案の他、文化祭、武術大会についてを話します。質疑応答は最後に設けますのでよろしくお願いします。

そして本題に入る前に新しい生徒会役員を紹介します」

イーシスがエルバイン、ネルフ、カイルと順番に紹介する

「そして今回新しく生徒会役員に入ったのが書記の1年1組リーシャ・オズワルド嬢」

そう紹介すると講堂中の男子生徒の大半が赤くなる

リーシャの本当の中身はアレだが見た目と振る舞いだけ見れば絶世の美女だ

顔が赤くなるのも頷ける


「新しく生徒会役員になりました、リーシャ・オズワルドです、至らない部分があると思いますがよろしくお願いします」

リーシャは美しく笑い淑女の礼をする

そして一部の生徒の鼻血が出た

そんな生徒は放っておき


「そして、もう1人生徒会会計の1年5組アイラ・ノルエル嬢」

その瞬間講堂中の生徒が耳を疑った

あの5組から新しい生徒会役員が選ばれたからだ

「初めまして、この度新しく生徒会役員に選ばれたアイラ・ノルエルです、よろしくお願いします」

生徒総会のルールでもある質疑応答時以外発言権は生徒会にあるため、誰も何も言わなかった

しかし顔には不満の顔を浮かべている生徒ばかりであった

リーシャや他の役員の紹介と比べ明らかに態度を変えている

そんな生徒の顔をアイラは1人たりとも見逃さなかった



生徒総会が終わりに近づき質疑応答の時間になった

「以上で今回の生徒総会の発表を終えます

質疑応答がある方挙手をお願いします」

イーシスは簡単に閉め、質疑応答の時間に入った

そして1人の生徒が挙手する

「そこのご令嬢、発言を許します」


「ありがとうございます、私ナイジェル伯爵家2年2組のエミリアと申します。今回生徒会役員に選ばれたアイラ・ノルエルについて1つ質問を宜しいでしょうか」

エミリアと名乗る少女はイーシスに発言権を委ねられ美しい淑女の礼をした

「失礼ながらアイラ・ノルエルは爵位を持ってはいません、そして優秀な生徒ならば疑問など持ちませんが彼女は5組であるのに、なぜ彼女が選ばれたのでしょう?失礼ですが他にも優秀な生徒は居たのになぜ長らく空席だった会計の2人目が彼女なのでしょうか?」

エミリアの発言は純粋な質問でもあるが、何も持たないアイラをバカにしていた

顔には不敵な笑みを浮かべている

その質問には周りの生徒も食いつき、周りもひそひそと陰口を言い始めた


そんな生徒を見てエルバイン、リーシャが応えようとしたが、

それより先に発言した者がいた

「エミリア・ナイジェル様の質問に応えさせていただきます」

アイラは普段とは別人のように芯の通った声で話す

「皆様がお思いのように私に爵位はありませんし、成績もよくありません。ですが、この学園に入りこの学園のために何かしたいと思ったのは事実です。そんな私に手を伸ばしてくれたのが生徒会の皆さんでした。何も無い私が生徒会に入りこの学園を離れた後に残ったものは少ないかもしれません。ですがこの学園のために少しでもお役に立てるよう努力させて頂きますのでよろしくお願いします」

生徒会、そして5組の皆が驚く

初めて出会った時とは人が変わったように見えた

胸を張り、皆に届くような大きな声で彼女は少しも後ろを見ているような仕草を見せなかったからだ

彼女の発言は彼女を少しでも知る人に響いた


「…ということです。これでナイジェル嬢の質問にお応え出来ていますか」

イーシスがエミリアに声かける


「はい…ありがとうございます」

まだ気に食わないような顔をしていたが、イーシスの圧に席に着いた

「それでは他に質問も無いそうですのでこれで春の生徒総会を終わります」

アイラの初めての生徒総会は幕を閉じた



舞台袖に下がった生徒会役員達

「どうなるか分からないけど、アイラ嬢に注目が集まる

虐めも君に集中するかもしれないができる限り私達が傍につき証拠を集めるよ」

エルバインはアイラに告げた


「よろしくお願いします」

アイラは覚悟を決めた

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