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ある精霊姫のお話  作者: 雑魚寝
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始まりの話



かつてこの国は植民地であった。

しかし、初代国王の力により植民地から解放され、皆から信頼されていた初代国王は民と供に国を築いた。

『未来永劫国民達が蔑まれることなく、輝けますように』初代国王は当時の言葉で輝く星を意味するエンテンス王国と付けた。


その願いに添い王国に住む人々は内乱もなく平和に過ごしていった。

国の繁栄に活躍した者に地位を与え

よりよく生活できるよう新たな事業を発展させていく。

国民は貴族とともに精一杯働き自分たちの子孫によりよい生活が送れるよう働いた。

そのおかげでエンテンス王国は周辺国と比べ

生活水準も労働環境も整った国へとすすんでいった。

その中でも魔法はこの国にとって必要な物となっていた。それは他国にとっても同じだ。

しかしある事件を境に人間達の魔力は衰退する。

その原因が精霊であった。

精霊は人間と違い、魔法との親和性が強い。

魔力の親和性は精霊や悪魔の自然の力を有する者を頂点とし、次に自然の影響を受け生み出された魔物、そして最後に人間である。

人間は親和性が弱い上、魔力があったとしてもコントロールができなくなるため防衛機能が働き自然と弱くなってしまっている。

それを補うために、人間は精霊と契約をした。精霊も楽しいことを考える人間が好きだったため精霊は人間との契約を許した。

しかし事件を境に人間は精霊が見えなくなり精霊との関係も絶たれたことで、魔力は衰退していったという。

それが10代目国王バーナス・エンテンスの時代だった。

しかし彼は賢王であった。

そしてこの国の国民達も強かった。

また他国に攻められ自分たちが築いてきた国を奪われることを許しはしなかった。

魔力が衰退しても、手を取り合い繁栄させた。

国を導いた国王は、賞賛の意味を込めてバーナスを賢王と呼び、この国に初めて2つ名の王が生まれた。


建国の唄は子供が生まれると、親は子にその唄を歌う。

例え、衰退してしまっても手を取り合えば乗り越えられることを皆知っていた。


しかし時が経ち平和に過ごすこの国にまた何かが入り込んできていた。人間達は気づかない。

またこの国に光が消えかけていた。



19代目国王レイチェン・エンテンスは魔力が高かった。魔力量は歴代の魔法士達を上回る程。レイチェンが国王になった日の夜、夢を見たという。

そして新しい制度を作る。

「いつかこの国に強大な闇が押し寄せる。その時、必要となるのがこの制度である」という言葉を残した。

そして王国筆頭魔術師「五星」が生まれる。


レイチェンが国王になってから国民達の魔力量が急激に増えていった。大人も子供も訓練すれば少しずつ魔法がつかえるようになり、魔法がまた身近な者になった。

神はこの国の民を見放さなかったのか、そうでなかったのかとそんな話をしながら国民達は歓喜に溢れた。

国民達は王を称え、賞賛の気持ちを込めてレイチェンを魔王と呼んだ。

レイチェンはそれを耳に挟み、公の場であったというのに腹を抱えて笑ったという。

そして

「遠くない未来本物が現われるかもしれないね」

と言った。

それが聞こえたのは、レイチェンの近くに居た側近達だけであったがレイチェンは変わり者であり公の場で腹を抱えて笑う王を皆の目に見えないようにするのに精一杯であったため、誰も重要視していなかった。


この国に2つ名の王がまた現れた。


そして現在、32代目アーサー・エンテンス国王がいる。

彼は好奇心旺盛な王である。自分の目で確かめないと気が済まなく、国王に即位する前は使者に紛れて他国を観察し技術を盗み、改良を加えて国に技術を広めていった。

それは周辺国も感動を覚え、現在では我先にと他国から使者が訪れこの国の技術が欲しいと連日訪れる。

国民達は賞賛し、賢王と呼ぶ。

しかし、アーサーは

「私は未熟だ。私の子がその名に相応しくなるだろう」と笑いながら言った。

アーサーは適当だった。しかし家臣たちは本気にしてしまったのだ。

そしてアーサーと隣国の王女と結婚し現在王妃陛下サリアスの間に子が生まれる。

第1王子エルバイン・エンテンス。

その子は本当に美しく、3歳までの間は女の子に間違えるぐらい周りの人間たちを魅了した。

そんな彼への期待は凄かった。

期待に対し彼は段々心を閉し、言葉を話さなくなった。

その期待に押し潰されると王妃陛下は心配していた。しかし、4歳のある日「母上!!!面白いものを見つけました!!!」と言ってその日を境に彼はあらゆる知識を深めていった。「あの日からかあの子の性格が陛下に似てきた気がします」と別の心配に変わっていったと王妃陛下は話していた。

そして期待に応える王子へと成長した。

博識で剣術に関しても近衛兵のトップと肩を並べるレベル。それだけでも十分であるが王子が特に素晴らしかったのが魔法であった。

その魔力量は五星や塔の魔術師に劣るが、魔法に関して知識を深めていたため、十分に実践で使えるだけの実力があった。

しかし、彼は「私はまだまだです。」と言った。

そしてエルバイン王子は12歳になった。

初等部は王城から通っていたが、中高部になると全寮制になる。

エルバインは王立魔法学校に通いたい、と陛下に転入を申し出たがアーサー王が却下したため

エルバインは交換条件をつけ王立エンテンス学園に入学した。

入学を見届けた陛下になぜ王子を魔法学校に入学させなかったのかという質問に

「可愛い子には旅をさせたいだろ?」と口角を上げながら応えた。それを聞いたのは後にも先にも宰相だけだったが、宰相は心の底で呆れたらしいとかそうじゃないだとか。



王子が中高部に入学して1年後、

ひとりの少女が最年少で王国筆頭魔術師に選ばれた。

少女は12歳でありながら魔力量は王国1番であり大人も驚くような様々な魔法を見出すという。

しかし、それだけが彼女が選ばれた訳ではない。

彼女は世界でただ1人精霊術を使うことが出来た。

国中が彼女の話で溢れた。

逸材、天才、等様々な話題でもちきりだった。

そして希望でもあった。精霊と絶たれた世界でまた精霊を見ることができるかもしれないからだ。

しかし、彼女は就任時の話がでたきりそれ以降の話題が城下に回ってくることがなかった。

そのうち、彼女についての疑問が膨らみ最終的に「彼女は精霊で人が嫌いではないのか」という根も葉もない噂が出回った。

国外に広まる前にその噂は収束されたが、国民達の心に少女への疑問は残ったままであった。


完全自己満

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