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6−4 ユーグ様からのプレゼント

馬車が走り出すとすぐに向かい側に座るノーラさんが尋ねてきた。


「あの御令嬢はロザリー様のお友達ですか?」


「あの方は…フランシスカ様で侯爵令嬢のお方です。そんな身分の高いお方とお友達なんて、おこがましいです」


「何を仰るのですか?ロザリー様こそ高貴なお方ではありませんか。もっとご自分に自信をお持ち下さい」


「は、はい…」


ノーラさんは言うけれども、やっぱり私は自分に自信を持つことなんて出来ない。

だって私は爵位も持たない、しかも普通の平民よりも貧しい生活をずっと送っていたのだから。


そして私は馬車から外の景色を眺め、小さなため息をついた―。



****


 馬車が『セントラルシティ』の駅に到着した。


『リーガルスクール』に通う学生たちは多くがこの駅からそれぞれの郷里へと向かい…そして戻ってくる。とても大きな駅で、ここはまさに『セントラルシティ』の中心部とも呼べる場所だった。大勢の人々が行き来している。


「ロザリー様がこの駅に来るのも3ヶ月ぶりではありませんか?」


人混みで賑わう駅の構内で隣に立つノーラさんが声を掛けてきた。


「はい、そうですね」


「こちらの封筒に汽車の乗車券が入っております。往復分入っておりますのでどうぞ無くされないようにお気を付け下さいね」


ノーラさんが封筒を手渡してきた。


「え…?往復の乗車券ですか?」


どうしてなのだろう?私は行きも帰りもノーラさんと行動するはずなのに?


私の戸惑いを感じたのだろう。ノーラさんが笑みを浮かべながら教えてくれた。


「この乗車券はロザリー様の郷里である『フロン』行きの券です」


「え?」


その言葉に耳を疑った。


「で、ですが…私は『ローデン公国』に行くのではありませんか…?」


ユーグ様が統治している公国へ行く予定だったのに…何故だろう?


「これはユーグ様からのプレゼントになります」


ノーラさんが笑みを浮かべた。


「え?!」


一体どういうことなのだろう?するとノーラさんが教えてくれた。


「ユーグ様がロザリー様に学園に入学して初めての長期休暇なので今年の冬は郷里で過ごせばよいだろうと仰っておりましたので、今回はどうぞご家族と休暇をお過ごしください」


その言葉に耳を疑った。今年の休暇は郷里に戻ることを諦めていただけに喜びもひとしおだった。


「あと、どうぞこちらの小切手をお使いください」


「え?ですが…いくらなんでも小切手まで受け取れません」


慌てて首を振るも、ノーラさんが真剣な顔つきで言った。


「どうぞお受け取り下さい。そうでなければ私がユーグ様からお叱りを受けてしまいますので」


「は、はい…」


恐縮しながら小切手を受け取り、その金額を見て驚いてしまった。


「そ、そんな…50万ダルクも受け取れませんっ!」


しかし、ノーラさんは首を振った。


「ユーグ様からの伝言です。このお金でクリスマスの準備をするようにとの事です。さ、ではホームまでお見送りさせて頂きます。『フロン』行のホームは7番でしたよね」


「は、はい…。そうです…」


私はすっかり恐縮しながら返事をした。


「それでは参りましょう」


「…分りました…」


そして私はノーラさんと一緒に『フロン』行のホームを目指した―。


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